テンポラル データ シンボル
テンポラル データは、時間の経過に伴って変化する個別データです。Tracking Analyst エクステンションは、トラッキング レイヤ固有のさまざまなシンボル オプションを備えています。データ表示用のタイム ウィンドウの作成機能に加え、トラック ラインの表示や属性の拡張ラベリングなどの高度なオプションを利用できます。
Tracking Analyst では、標準のフィーチャ レイヤのシンボル化と同じように、個々のトラッキング レイヤに対してシンボルを定義することができます。ただし、トラッキング レイヤの場合、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [シンボル] タブの外観と操作性に特徴があります。以下の各セクションでは、Tracking Analyst で使用可能な、トラッキング レイヤ固有のシンボル化オプションについて説明します。
イベントの基本シンボル
各トラッキング レイヤには、基本シンボルと呼ばれるデフォルト シンボルがあります。これは、標準のフィーチャ レイヤに対して定義されるシンボルとほぼ同じですが、1 つだけ大きな違いがあります。Tracking Analyst には、基本シンボルの変更やオーバーライドのためのシンボル オプションがいくつか含まれています。デフォルトでは、これらのオプションはどれも有効化されず、トラッキング レイヤ内のイベントはすべて同じ基本シンボルを使用して表示されます。トラッキング レイヤの基本シンボルの定義は、[シンボル] タブのデフォルト表示([表示] パネルの [イベント] をクリックしてアクセス)で行います。デフォルトでは、基本シンボルはすべてのイベントに使用される単一シンボルになり、標準のフィーチャ レイヤのシンボルを変更する場合と同じように変更できます。標準のフィーチャ レイヤと同様に、データ内の個別の属性値に基づく基本シンボルの作成など、より高度なオプションも用意されています。
タイム ウィンドウ
タイム ウィンドウは、トラッキング データを表示および解析するための強力なツールです。タイム ウィンドウでは、一度に表示するデータが 1 つのサブセットに限定されることで時系列のデータ変更が示されます。
最新イベントのシンボル化
Tracking Analyst では、各トラックで最新のイベントを表示するための特別なシンボルを割り当てることができます。この機能を使用すると、古いイベントを表示しながら、トラック オブジェクトの最新の位置を知らせることができます。最新イベントのシンボルの設定方法は基本シンボルの設定方法と同じですが、各トラックの最新イベントの基本シンボルがオーバーライドされます。
この機能を効果的に使用するには、適切なトラック ID をトラッキング レイヤに定義しておく必要があります。
各トラックの最新イベントのみのシンボル化
トラッキング レイヤの各トラックの最新イベントのみを表示すると、オブジェクトの現在位置にのみ関心がある場合に役立ちます。たとえば、リアルタイムで複数の車両を監視している場合、車両の現在位置にのみ関心があることがあります。この機能を使用すると、各車両の最新の位置のみをマップ上に表示し、以前の観測はすべて非表示にすることができます。これにより、車両の最新の位置のみに基づく迅速な意思決定が可能になります。
最新イベントのみのシンボル化は、固定タイム データでも有用な場合があります。この機能を使用して固定データを再生した場合、各トラックを表すシンボルが 1 つだけ表示されます。
この機能を効果的に使用するには、適切なトラック ID をトラッキング レイヤに定義しておく必要があります。
未来のイベントの表示
リアルタイム モードの場合、および再生モードにおける多くの場合、Tracking Analyst では過去に発生したイベントのみが表示されます。上記のユーザ インタフェースでは、[未来のイベントを表示] オプションを使用して、未来に存在するイベントを表示できます。これは、重要なリアルタイム データを処理する際に、システム クロックがトラッキング サービスからのデータ ストリームに含まれるタイム スタンプと同期していないときに、非表示のイベントがないことを確認する場合に役立ちます。
また、このオプションは、未来のタイム スタンプを持つ固定タイム データで作業している場合にも役立ちます。たとえば、衛星の未来の予測位置を含むデータセットがあるとします。通常、この未来のデータは、プレイバック マネージャが閉じている(したがって Tracking Analyst がリアルタイム モードである)場合は表示されず、それによって混乱が生じることがあります。[未来のイベントを表示] チェックボックスをオンにすると、プレイバック マネージャが閉じているときでも、未来のデータがすべて表示されます。再生モードでは、未来のデータは、プレイバック マネージャによって設定された現在の時刻に基づいて表示されます。
トラック ラインのシンボル化
トラックとは、共通のトラック ID フィールドを持つイベントの集合です。トラック ラインとは、これらの観測値をたどるグラフィック ラインです。たとえば、1 台の車両に関する時系列の観測値がすべて 1 つのトラックに属している場合、トラック ラインを使用して各点を結ぶことで、その車両経路を示すことができます。このトラック ラインによって、あらゆるトラック オブジェクトの移動経路を簡単に確認できるようになります。
トラック ラインは、ポイント トラッキング レイヤで最もよく使用されますが、ラインおよびポリゴン トラッキング レイヤでも使用できます。ライン トラッキング レイヤで使用する場合、トラック ラインは、各ライン フィーチャの中間点を結びます。ポリゴン トラッキング レイヤで使用する場合、トラック ラインは、各ポリゴン フィーチャの重心を結びます。
トラフィック ラインで使用するシンボルは、ライン フィーチャクラスの場合と同じようにカスタマイズできます。ただし、トラック ラインはフィーチャではないことに注意してください。トラック ラインはマップ上で選択することも、他のプロセスの入力として使用することもできません。
この機能を効果的に使用するには、適切なトラック ID をトラッキング レイヤに定義しておく必要があります。
レイヤに対してトラック ラインを作成した後は、ラインをスムージングして、より滑らかで視覚的に美しい表示を作成できます。場合によっては、トラック ラインのスムージングで、車両がたどるパスをより正確に推定できます。
方向ベクトルのシンボル化
方向ベクトルとは、トラック オブジェクトの進行方向と速度を示す矢印のことです。方向ベクトルは、ポイント トラッキング レイヤに対してのみシンボル化できます。方向ベクトルは、1 つのトラッキング レイヤのすべてのイベントに対してシンボル化するか、または各トラックの最新のイベントのみに対してシンボル化することができます。どちらの場合でも、データ ポイントの方向ベクトルは、現在のポイントと直前のポイントからなる、2 つのデータ ポイントから計算されます。
方向ベクトルの長さは時間単位で表現されます。たとえば、特定のトラッキング レイヤの方向ベクトルの長さを 1 分間として設定することができます。この場合、各方向オブジェクトは、トラック オブジェクトが現在のコースを維持し、現在の速度で移動した場合の 1 分後の推定位置を示します。方向ベクトルは 2 つのデータ ポイントのみから計算されるため、ベクトルの精度はデータの精度に依存します。方向ベクトルは、オブジェクトの進行方向と速度を必ずしも正確に反映していない場合があります。
方向ベクトルで使用するシンボルは、ライン フィーチャクラスの場合と同じようにカスタマイズできます。ただし、方向ベクトルはフィーチャではないことに注意してください。トラック ラインはマップ上で選択することも、他のプロセスの入力として使用することもできません。
方向ベクトルを使用してポイント データをシンボル化する方法の詳細
この機能を効果的に使用するには、適切なトラック ID をトラッキング レイヤに定義しておく必要があります。
イベント属性のラベル
航空機の追跡などのいくつかのトラッキング アプリケーションでは、複数の属性を使用してトラック オブジェクトをラベリングできると便利です。そのため、Tracking Analyst ではトラッキング レイヤ用の拡張ラベル機能を提供しています。トラッキング フィーチャごとに、最大 6 つの異なる属性を使用したラベリングが可能です。表示する属性を構成し、それぞれの属性を表示する順序を指定できます。また、ラベルで使用するフォントの変更や、フィーチャを基準にしたラベル位置の変更も可能です。
最新イベントのラベリング
Tracking Analyst の拡張ラベル機能は、各トラックの最新イベントのみをラベリングするときにも使用できます。これは、トラック オブジェクトごとにラベル セットが 1 つだけ表示されるようにする場合にお勧めします。
最大 6 つの属性を使用した最新イベントのラベリング方法の詳細
この機能を効果的に使用するには、適切なトラック ID をトラッキング レイヤに定義しておく必要があります。
単純なラベリングでよい場合は、Tracking Analyst には、1 つの属性を使用してトラッキング レイヤ内の最新イベントをすばやく簡単にラベリングできる方法があります。たとえば、複数の車両をトラッキングしている際に各車両の最新の位置を車両の名前でラベリングする場合は、この方法をお勧めします。
グローバル シンボル プロパティの使用
Tracking Analyst には、方向ベクトルと属性ラベリングのグローバル プロパティを設定する機能があります。グローバル プロパティはマップ ドキュメントに格納されており、このプロパティによって、そのマップ ドキュメント内のすべてのトラッキング レイヤに使用されるデフォルト設定が定義されます。グローバル プロパティを使用しない場合は、グローバルなシンボル設定をトラッキング レイヤごとに変更できます。個別レイヤに対して方向ベクトルまたはイベント属性プロパティを設定した後でも、マウスを 1 回クリックするだけで、そのレイヤのプロパティをグローバル プロパティにいつでも戻すことができます。