曲率の仕組み
[曲率(Curvature)] ツールは、入力サーフェスの二次導関数値をセルごとに計算します。
セルごとに、次の四次多項式
Z = Ax²y² + Bx²y + Cxy² + Dx² + Ey² + Fxy + Gx + Hy + Iが 3 x 3 の枠で構成されるサーフェスに適用されます。係数の A、B、C などは、このサーフェスから計算されます。
図に示した、番号の付いた各セルの 9 個の標高値と係数との関係は次のとおりです。
A = [(Z1 + Z3 + Z7 + Z9) / 4 - (Z2 + Z4 + Z6 + Z8) / 2 + Z5] / L4 B = [(Z1 + Z3 - Z7 - Z9) /4 - (Z2 - Z8) /2] / L3 C = [(-Z1 + Z3 - Z7 + Z9) /4 + (Z4 - Z6)] /2] / L3 D = [(Z4 + Z6) /2 - Z5] / L2 E = [(Z2 + Z8) /2 - Z5] / L2 F = (-Z1 + Z3 + Z7 - Z9) / 4L2 G = (-Z4 + Z6) / 2L H = (Z2 - Z8) / 2L I = Z5
[曲率(Curvature)] ツールの出力は、サーフェスの二次導関数(たとえば、傾斜角の傾斜角)で、次のようになります。
曲率 = -2(D + E) * 100
応用的視点からは、ツールの出力を使用して、集水域の物理的特徴を説明し、侵食プロセスや流出プロセスの把握に役立てることができます。傾斜角は、下り斜面の全体的な移動率に影響をおよぼします。傾斜方向は流れの方向を規定します。断面曲率は、侵食や沈殿につながる流れの加速と減速に影響を与えます。平面曲率は、流れの収束と分岐に影響を与えます。
ラスタのコンターを表示すると、[曲率(Curvature)] ツールを実行して作成されたデータの理解と解釈に役立つことがあります。処理の例を以下に示します。
曲率(Curvature)ツールの結果の解釈
ラスタのコンターを表示すると、ツールを実行して作成されたデータの理解と解釈に役立つことがあります。処理の例を以下に示します。
- 曲率ラスタを作成します。
[入力ラスタ] :elev_ras
[出力曲率ラスタ] : curv_ras
[Z 係数] :1
[出力断面曲率ラスタ] : profile_ras
[出力平面曲率ラスタ] : plan_ras
- サーフェス ラスタのコンターを作成します。
[入力ラスタ] :elev_ras
[出力ポリライン フィーチャ] : cont_lines
[コンター間隔] : 100
[ベース コンター] : ""
[Z 係数] :1
- 傾斜角ラスタを作成します。
[入力ラスタ] :elev_ras
[出力ラスタ]:slope_ras
[出力単位] : DEGREE
[Z 係数] :1
- 傾斜角のコンターを作成します。
[入力ラスタ] :slope_ras
[出力ポリライン フィーチャ] : cont_slope
[コンター間隔] : 5
[ベース コンター] : ""
[Z 係数] :1
ArcMap で曲率ラスタをレイヤとして追加します。作成した 2 つのコンター フィーチャ データセットを重ね合わせて、それぞれに異なる色シンボル表示を適用します。
参考文献
Moore, I. D., R. B. Grayson, and A. R. Landson. 1991. Digital Terrain Modelling:A Review of Hydrological, Geomorphological, and Biological Applications.Hydrological Processes 5: 3–30.
Zeverbergen, L. W., and C. R. Thorne. 1987. Quantitative Analysis of Land Surface Topography.Earth Surface Processes and Landforms 12: 47–56.