WMS サービスのカスタム投影の定義
WMS サービスでは、サポートされる空間参照系を WMS ケーパビリティ ファイルで提供したり、特定の投影でマップを要求したりするために、EPSG:4326 などの well-known EPSG ID が必ず必要です。ただし、多くのカスタム空間参照系は実際には公式の EPSG ID に関連付けられていません。
ArcGIS Server WMS サービスを使用すると、WMS サービスのカスタム投影や、投影の WKT(Well Known Text)表現を定義できます。カスタム空間参照系が公式の EPSG ID に関連付けられていない場合は、特にこれが役に立ちます。たとえば、WMS サービスの公開者やユーザは以下のことを行うことができます。
- カスタム投影に ID を割り当てて WMS ケーパビリティ ファイルを介して提供する。
- WKT 文字列を使用して既存の投影を上書きする。
- Well-Known Text(WKT)を直接指定して、特定の投影のマップをリクエストする。
listCustomCRS プロパティの使用
カスタム空間参照系を定義して提供するには、WMS サービスに listCustomCRS プロパティを追加する必要があります。これは、ArcGIS Server Administrator Directory のみで行うことができます。Administrator Directory にアクセスしてこのプロパティを追加する方法の詳細については、「使用可能な WMS サービス プロパティ」をご参照ください。
デフォルトのカスタム投影の定義
WMS サービスのデフォルトのカスタム投影を定義するには、listCustomCRS プロパティに "EPSG:<ID>=DEFAULT" を追加することにより、カスタム投影の well-known ID にする EPSG ID を割り当てます。次に例を示します。
"properties": {
"listCustomCRS": "EPSG:200001=DEFAULT",
...
この例では、カスタム投影の well-known EPSG ID として EPSG:200001 を割り当てています。
WKT を使用したカスタム投影の定義
WMS サービスのカスタム投影を定義するには、listCustomCRS プロパティに "EPSG:<ID>=<カスタム投影 WKT>" を追加することにより、カスタム投影の WKT(well-known text)文字列に EPSG ID を割り当てます。EPSG:<ID> は WMS サービスのケーパビリティ ファイルを通じて提供されます。このアプローチを使用して、既存の投影の定義を上書きすることもできます。
以下の例では、EPSG:200002 は WKT 文字列で表されたカスタム投影に割り当てられています。また、別の WKT 文字列を使用して EPSG:3857 の定義の上書きも行っています。
"properties": {
"listCustomCRS":"EPSG:3857=PROJCS[\"International_1924_UTM_Zone_30N\",GEOGCS
[\"GCS_International_1924\",DATUM[\"D_International_1924\",SPHEROID
[\"International_1924\",6378388.0,297.0]],PRIMEM[\"Greenwich\",0.0],UNIT
[\"Degree\",0.0174532925199433]],PROJECTION[\"Transverse_Mercator\"],PARAMETER
[\"False_Easting\",500000.0],PARAMETER[\"False_Northing\",0.0],PARAMETER
[\"Central_Meridian\",-3.0],PARAMETER[\"Scale_Factor\",0.9996],PARAMETER
[\"Latitude_Of_Origin\",0.0],UNIT[\"Meter\",1.0]];EPSG:200002=GEOGCS
[\"GCS_WGS_1984\",DATUM[\"D_WGS_1984\",SPHEROID[\"WGS_1984\",6378137.0,298.257223563]],PRIMEM
[\"Greenwich\",0.0],UNIT[\"Degree\",0.0174532925199433],METADATA
[\"World\",-180.0,-90.0,180.0,90.0,0.0,0.0174532925199433,0.0,1262]]"
...
WKT の使用による特定の投影の要求
以下の例は、GetMap リクエストで投影の WKT 表現を定義して WMS サービスから特定の投影のマップを要求する方法を示しています。
サンプル GetMap リクエスト
http://server_name/arcgis/services/service_name/MapServer/WmsServer?VERSION=1.3.0&REQUEST=GetMap&CRS=PROJCS["International_1924_UTM_Zone_30N",GEOGCS["GCS_International_1924",DATUM["D_International_1924",SPHEROID["International_1924",6378388.0,297.0]],PRIMEM["Greenwich",0.0],UNIT["Degree",0.0174532925199433]],PROJECTION["Transverse_Mercator"],PARAMETER["False_Easting",500000.0],PARAMETER["False_Northing",0.0],PARAMETER["Central_Meridian",-3.0],PARAMETER["Scale_Factor",0.9996],PARAMETER["Latitude_Of_Origin",0.0],UNIT["Meter",1.0]]&BBOX=-116627.343234,3913652.137231,1206619.240498,4885411.347159&WIDTH=1024&HEIGHT=752&LAYERS=Color,Trama,Contactos&STYLES=,,&EXCEPTIONS=xml&FORMAT=image/png&BGCOLOR=0xFEFFFF&TRANSPARENT=TRUE