LIDAR データとは
LIDAR(light detection and ranging)は、レーザー光線を使用して、地表を高密度でサンプリングし、極めて精度の高い X、Y、Z 計測値を生成する光学リモート センシング手法です。LIDAR は、主に航空機レーザー マッピング アプリケーションで使用されており、写真測量のような従来の調査手法に代わる費用対効果の高い方式として利用が拡大しています。LIDAR は、ArcGIS を使って管理、可視化、解析、共有できる、多数の点群データセットを生成します。
LIDAR システムの主なハードウェア コンポーネントは、搭載機器(航空機、ヘリコプター、車両、および三脚)、レーザー スキャナ システム、GPS(Global Positioning System)、および INS(Inertial Navigation System)です。INS システムは、LIDAR システムのロール、ピッチ、方向を計測します。
LIDAR は、特定の調査ルートを移動しながら、ターゲットに向けてレーザー光線を照射するアクティブな光学センサです。ターゲットからのレーザーの反射は、LIDAR センサのレシーバで検出され、解析されます。レシーバは、レーザー パルスがシステムを離れたときから、戻ってくるまでの正確な時間を記録し、センサとターゲットの間の距離を計算します。位置情報(GPS と INS)と組み合わせることにより、これらの距離の計測値は、オブジェクト空間における反射ターゲットの実際の三次元ポイントの計測値に変換されます。
LIDAR データを測量した後、ポイント データは後処理され、レーザー タイムレンジ、レーザー スキャン角度、GPS 位置、および INS 情報を解析することによって、極めて正確なジオリファレンスされた X、Y、Z 座標となります。
LIDAR レーザー リターン
LIDAR システムから発射されたレーザー パルスは、植生、建物、橋など、地表に接しているオブジェクトおよび地表の上にあるオブジェクトの両方で反射します。発射された 1 つのレーザー パルスは、1 つまたは複数のリターンとして LIDAR センサに戻ります。地表に向かって進むときに複数の反射サーフェスに当たったレーザー パルスは、反射サーフェスの数と同数のリターンに分割されます。
最初に戻るレーザー パルスは最も重要なリターンであり、木や建物の最上部のような、その地形の最も高いフィーチャに関連付けられます。最初のリターンが地表を表すこともありますが、その場合は 1 つのリターンだけが LIDAR システムに検出されます。
複数のリターンにより、発射されるレーザー パルスのレーザー フットプリント内にある複数のオブジェクトの標高を検出することができます。一般に、中間のリターンは植生の構造、最後のリターンは地表面モデルの抽出に使用されます。
最後のリターンが常に地表からのリターンとは限りません。たとえば、パルスが地表に達する前に太い枝に当たり、実際には地表に到達しなかった場合などがあります。この場合、最後のリターンは地表からではなく、そのレーザー パルス全体を反射した枝からのものになります。
LIDAR ポイント属性
X、Y、Z 位置のすべての値とともに、追加情報が格納されます。記録されるレーザー パルスごとに、LIDAR ポイント属性が保持されます。保持される属性は、強度、リターン番号、リターンの数、ポイント分類コード値、フライト ラインのエッジにあるポイント、RGB(赤、緑、青)値、GPS 時間、スキャン角度、およびスキャン方向です。次の表では、各 LIDAR ポイントに設定できる属性について説明しています。
以下の LIDAR 属性は、最終的に出力される LIDAR ファイルで常に提供されるわけではありません。LIDAR データに関連した属性と分類を確認するには、LAS データセットを使用してください。
LIDAR 属性 | 説明 |
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LIDAR ポイントを生成したレーザー パルスのリターン強度。 | |
リターン番号 | 発射されたレーザー パルスは、反射するフィーチャと、データの収集に使用されるレーザー スキャナの機能に応じて、最大 5 つのリターンを発生させる可能性があります。最初のリターンはファースト リターン、次は 2nd リターンというようにフラグが付けられます。 |
リターンの数 | リターンの数は、特定のパルスのリターンの総数です。たとえば、レーザー データ ポイントのリターンは、総リターン数 5 内の 2(リターン数)になることがあります。 |
後処理されたすべての LIDAR ポイントには、レーザー パルスを反射したオブジェクトの種類を定義する分類コードを設定することができます。LIDAR ポイントは、地表面、植生、水域などのいくつかのカテゴリに分類できます。分類クラスの定義には、LAS ファイルの整数値のコードを使用します。 | |
フライト ラインのエッジ | ポイントは、値 0 または 1 に基づいてシンボル化されます。フライト ラインのエッジでフラグ付けされたポイントには値 1 が、それ以外のすべてのポイントには値 0 が与えられます。 |
RGB | LIDAR データは、RGB(赤、緑、青)バンドの属性を持つことができます。この属性は多くの場合、LIDAR 測量と同時に撮影された画像から取得されます。 |
GPS 時間 | レーザー ポイントが航空機から発射されたときの GPS タイム スタンプ。この時間は、GPS 週秒の単位で表されます。 |
スキャン角度 | スキャン角度は、-90 ~ +90 度の値です。0 度では、レーザー パルスは航空機の真下に向かいます。-90 度では、レーザー パルスは航空機の進行方向の左側に、+90 度では右側に向かいます。現在の LIDAR システムはほとんどが ±30 度未満になっています。 |
スキャン方向 | スキャン方向は、出力レーザー パルスのときにレーザー スキャン ミラーが向かっていた方向です。値 1 は正のスキャン方向、値 0 は負のスキャン方向です。正の値は、スキャナが、フライト方向に向かって左側から右側に移動していることを示し、負の値はその反対方向を示します。 |
点群とは
空間的に構成された LIDAR データを後処理したものは、点群データと呼ばれます。初期点群データは、X、Y、Z を含む 3D 標高ポイントと GPS タイム スタンプなどの追加の属性とから構成される、大規模な集合です。レーザーが当たった地表の地物のうち特定のものは、初期 LIDAR 点群データが後処理された後に分類されます。地表、建物、森林樹冠、高速道路の立体交差など、測量中にレーザー光線が遭遇するあらゆるものの標高を点群データに入れることができます。
LIDAR 分類の詳細については、「LIDAR ポイントの分類」をご参照ください。
ArcGIS の LIDAR 点群データは一般に、一連のラスタまたは TIN、LAS データセット、テレイン データセット、またはモザイク データセットとして表されます。