PostgreSQL に格納されたジオデータベースのラスタ データセットとラスタ カタログ

ラスタ データはセルが行と列の同じサイズの配列として表される空間データです。ラスタ データは 1 つ以上のラスタ バンドで構成できます。ラスタ データとその属性の詳細については、このヘルプの「ラスタ データの概要」をご参照ください。はじめに、「ラスタ データとは」をご参照ください。

ArcGIS for Desktop のラスタ

ArcGIS では、ラスタ データは単一のラスタ データセット、ラスタ カタログ、またはモザイク データセットに格納できます。これらラスタの格納タイプについては、「ラスタ データの整理」をご参照ください。

カタログ ツリーでは、PostgreSQL の各ラスタ データセットは次のアイコンで表示されます。

ラスタ データセットのアイコン

ラスタ カタログは、カタログ ツリーに次のアイコンで表示されます。

ラスタ カタログのアイコン

PostgreSQL のラスタ カタログとラスタ データセットの名前には、データベースの名前、ラスタ カタログまたはラスタ データセットの所有者の名前、およびラスタ カタログまたはラスタ データセット自体の名前が含まれます。

たとえば、データベース「m8db」でユーザ「rocket」に所有されているラスタ データセット「qa_ras_seattle2」は、カタログ ツリーでは「m8db.rocket.qa_ras_seattle2」として表示されます。

モザイク データセットのジオデータベースへの格納方法の詳細については、「PostgreSQL に格納されたジオデータベースのモザイク データセット」をご参照ください。

PostgreSQL データベースのラスタ テーブル

PostgreSQL データベース の ArcSDE ジオデータベースは、ラスタ データを PostgreSQL のネイティブ bytea 列に格納するか、または ST_Raster 格納タイプで格納することができます。

bytea で格納されたラスタ

ビジネス テーブルにラスタ列が追加され、ラスタ列の各セルに別のラスタ テーブルに格納されたラスタへの参照が含まれます。このため、ビジネス テーブルの各行はラスタ全体を参照します。

ラスタをジオデータベースにインポートすると、選択したビジネス テーブルにラスタ列が追加されます。ラスタ列の各セルには、別のラスタ テーブルに格納されたラスタへの参照が含まれます。このため、ビジネス テーブルの各行はラスタ全体を参照します。ラスタ列はビジネス テーブルにつき 1 つのみに制限されます。

ヒントヒント:

PostgreSQL の列の命名規則に準拠していれば、ラスタ列に任意の名前を付けることができます。

ラスタ データセットは、5 つのテーブル(ビジネス テーブル、補助テーブル、ブロック テーブル、バンド テーブル、ラスタ テーブル)で構成されます。次に、ラスタ データセット qa_ras_seattle2_xf のテーブルを示します。

sde_ras、sde_bnd、sde_aux、および sde_blk テーブルの番号は、sde_raster_columns テーブルの rastercolumn_id に対応しています。

ビジネス テーブル

ビジネス テーブルは属性を格納する DBMS テーブルであり、ラスタ列の追加により空間に対応します。ビジネス テーブルは、ラスタのフットプリントを格納(エリアを定義)します。上の例では、ビジネス テーブルは qa_ras_seattle2_xf テーブルです。

ラスタ列を持つビジネス テーブルが、1 つのラスタ データセットまたはラスタ カタログです。ラスタ データセットはビジネス テーブル行を 1 つしか含むことができませんが、ラスタ カタログは複数の行を含むことができます。ラスタ列に関する情報は、sde_raster_columns システム テーブルで管理されます。すべてのビジネス テーブルに関する情報は、テーブルに空間列またはラスタ列があるかどうかにかかわらず、sde_table_registry システム テーブルに維持されます。

ラスタ イメージ テーブル

実際のラスタ イメージは、これらのテーブルに格納されます。

注意注意:

ラスタ テーブルは、ラスタ データがジオデータベースにある場合にのみデータベースに表示されます。

sde_aux_<raster_column_id>

ラスタ補助テーブルには、イメージ カラーマップ、イメージ統計、およびイメージ オーバーレイとモザイク処理に使用されるビット マスク(オプション)が格納されます。

イメージ統計、カラー マップ、ビット マスクなどの既存のイメージ メタデータは、自動的にラスタ補助テーブルに格納されます。ラスタ補助テーブルの rasterband_id 列は、ラスタ バンド テーブルの主キーに対する外部キー参照です。ラスタ バンドのメタデータにアクセスするときに、この主キーと外部キー参照で 2 つのテーブルが結合されます。

フィールド名

フィールド タイプ

説明

NULL?

rasterband_id

integer

ラスタ バンドを表す数字。たとえば、2 つのラスタ バンドを持つラスタ データセットでは、このフィールドに 2 つの異なる値(1 と 2)が含まれます。

NOT NULL

type

integer

含まれる値

NOT NULL

object

bytea

実際のデータ(カラーマップ インデックス、ラスタ統計情報、または座標変換)

NOT NULL

sde_blk_<raster_column_id>

ラスタ ブロック テーブルには、画像の各バンドの実際のイメージ データが格納されます。

ラスタ ブロック テーブルには、各ラスタ バンドのピクセルが格納されます。ユーザ定義の範囲に従って、ピクセルがブロックにタイル分割されます。ジオデータベースにラスタ データをインポートするか作成する ArcGIS アプリケーションには、デフォルトの範囲が設定されています。たとえば、ジオプロセシング ツールと ArcCatalog は、デフォルトで 1 ブロックあたり 128 x 128 ピクセルのラスタ ブロックの範囲を使用します。ラスタ ブロックの範囲と圧縮方法(指定されている場合)により、各ラスタ ブロックの格納サイズが決定されます。ラスタ ブロック テーブルの各行が DBMS に適合するように、ラスタ ブロックの範囲と圧縮方法の組み合わせを選択してください。

ラスタ ブロック テーブルには RASTERBAND_ID 列が含まれます。この列は、ラスタ バンド テーブルの RASTERBAND_ID 主キーに対する外部キー参照です。ラスタ バンドのブロックにアクセスするときに、この主キーと外部キー参照でこれらのテーブルが結合されます。

ラスタ ブロック テーブルの値は、ピラミッドの解像度の低下に従って設定されます。ピラミッドの高さは、アプリケーションによって指定されたレベル数に基づいて決定されます。ジオプロセシング ツールや ArcCatalog などのアプリケーションでは、ユーザがレベルを定義したり、ジオデータベースにレベルを計算するよう要求したり、これらの両方を選択することができます。ピラミッドはベース(レベル 0)から始まり、このレベルには画像の元のピクセルが含まれます。ピラミッドは頂点に向かって進み、前のレベルの 4 つのピクセルが現在のレベルの 1 つのピクセルに結合されます。このプロセスはピラミッドが頂点に到達するまで続けられます。この動作は自動的に定義されるか、ユーザが定義できます。

ピラミッドのレベルを追加すると、ラスタ ブロックの数が 3 分の 1 増加します。ただし、レベルの数を指定できるため、ピラミッドのサイズを小さくすることが可能です。ピラミッドの第 1 レベルは、ベースの 25% になります。ピラミッドの第 1 レベルはスキップできることにも注意してください。これにより、ピラミッドのサイズを大幅に削減することができます。

ラスタ ピラミッド
ラスタ ピラミッド

ピラミッドを構築する場合、前のレベルを順次ダウンサンプリングすることにより、頂点に到達するまでに 2 倍のラスタが作成されます。アプリケーションが表示を縮小してラスタ セルが解像度の閾値より小さくなるたびに、ピラミッドの上位のレベルが選択されます。ピラミッドの目的は、表示のパフォーマンスを最適化することです。

フィールド名

フィールド タイプ

説明

NULL?

rasterband_id

integer

ラスタ バンドを表す数字。たとえば、2 つのラスタ バンドを持つラスタ データセットでは、このフィールドに 2 つの異なる値(1 と 2)が含まれます。

NOT NULL

rrd_factor

integer

ピラミッド レベル。ピラミッド レベルは 0 から始まり、ここから増えていきます。

NOT NULL

row_nbr

integer

タイルの行位置番号

NOT NULL

col_nbr

integer

タイルの列位置番号

NOT NULL

block_data

bytea

タイルに格納されるピクセル データ

NOT NULL

sde_bnd_<raster_column_id>

ラスタ バンド テーブルには、画像のバンドに関する情報が格納されます。ラスタ バンドごとにレコードが 1 つあります。

ジオデータベースは、ラスタ バンドをラスタ バンド テーブルに格納します。RASTER_ID 列でラスタ バンド テーブルがラスタ テーブルに結合されます。ラスタ バンド テーブルの RASTER_ID 列は、ラスタ テーブルの主キーに対する外部キー参照です。

フィールド名

フィールド タイプ

説明

NULL?

rasterband_id

integer

ラスタ バンドを表す数字。たとえば、2 つのラスタ バンドを持つラスタ データセットでは、このフィールドに 2 つの異なる値(1 と 2)が含まれます。

NOT NULL

sequence_nbr

integer

ラスタ データセット内のラスタ バンドの順序

NOT NULL

raster_id

integer

ラスタ データセットの一意の識別子。ビジネス テーブルのラスタ列の値に対応します。

NOT NULL

name

varchar(65)

オプションのラスタ バンド名

band_flags

integer

バンドに関するプロパティを含むビットマスク

NOT NULL

band_width

integer

バンドのピクセル幅

NOT NULL

band_height

integer

バンドのピクセルの高さ

NOT NULL

band_types

integer

バンドに関するプロパティを含むビット マスク

NOT NULL

block_width

integer

ブロックのピクセル幅

NOT NULL

block_height

integer

ブロックのピクセル高さ

NOT NULL

block_origin_x

double precision

ラスタの原点の X 座標

NOT NULL

block_origin_y

double precision

ラスタの原点の Y 座標

NOT NULL

eminx

double precision

ラスタ バンドの X 座標の最小値

NOT NULL

eminy

double precision

ラスタ バンドの Y 座標の最小値

NOT NULL

emaxx

double precision

ラスタ バンドの Y 座標の最大値

NOT NULL

emaxy

double precision

ラスタ バンドの Y 座標の最大値

NOT NULL

cdate

integer

ラスタ バンドの作成日

NOT NULL

mdate

integer

ラスタ バンドの最終更新日

NOT NULL

sde_ras_<raster_column_id>

ラスタ説明テーブルは、ラスタ列内の画像の説明を格納します。

フィールド名

フィールド タイプ

説明

NULL?

raster_id

integer

ラスタ データセットの一意の識別子。ビジネス テーブルのラスタ列の値に対応します。

NOT NULL

raster_flags

integer

将来使用するために予約済み

description

varchar(65)

ラスタ データセットの説明

ラスタの管理に使用するその他のシステム テーブル

他のタイプのデータと同様に、ラスタ カタログとラスタ データセットは gdb_items テーブルと sde_layers テーブルで管理されます。ラスタ タイプの列は sde_raster_columns テーブルで管理されます。ラスタ列を含むテーブルごとに 1 つのエントリがあります。

ラスタ データセットまたはラスタ カタログの一部として、属性テーブルを追加できます。ラスタ データセットにはラスタ属性テーブルを 1 つしか追加できませんが、ラスタ カタログには複数のテーブルを追加できます。ラスタ属性テーブルは、特定のラスタ セル値の属性を定義するために使用されます。これらのテーブルの使用方法については、「ラスタ データセットの属性テーブル」をご参照ください。

[データ管理] ツールボックスの [ラスタ] ツールセットで、[ラスタ プロパティ] ツールセットの [ラスタ属性テーブルの構築(Build Raster Attribute)] ツールを使用できます。このツールの詳細については、「ラスタ属性テーブルの構築(Build Raster Attribute Table)(データ管理)」をご参照ください。

ラスタ データセットの場合、追加の属性テーブルの名前は sde_vat_<raster_column_ID> という形式になります。ラスタ カタログの場合、テーブル名は sde_vat_<raster_column_ID>_<Object_ID> という形式になります。

PostgreSQL の bytea ストレージを使用したラスタ データセットのダイアグラムを表示します。

破線はテーブル間の暗黙的なリレーションシップを示しています。

注意注意:

このファイルを開くには、Adobe Acrobat Reader が必要です。

ST_Raster 形式で格納されたラスタ

ST_Raster は、サブタイプで構成されるユーザ定義のオブジェクト タイプです。ST_Raster 格納を使用するラスタ データセットは、3 つのテーブル(ビジネス テーブル、補助テーブル、ブロック テーブル)で構成されます。ジオデータベースで ST_Raster 格納を使用する場合、ラスタ内やバイナリ ラスタのラスタ バンド テーブルに格納される情報と同等の情報が、ベース テーブルの ST_Raster オブジェクト内に格納されます。ST_Raster オブジェクトは、ラスタのジオメトリも格納します。

ST_Raster 形式で格納されるラスタには、補助テーブル(sde_aux_<raster_ID>)とブロック テーブル(sde_blk_<raster_ID>)があります(このトピックの「ラスタ イメージ テーブル」を参照)が、ラスタ バンド テーブル(sde_bnd_<raster_ID>)やラスタ テーブル(sde_ras_<raster_ID>)は使用しません。

PostgreSQL の ST_Raster ストレージを使用したラスタ データセットのダイアグラムを表示します。

破線はテーブル間の暗黙的なリレーションシップを示しています。

注意注意:

このファイルを開くには、Adobe Acrobat Reader が必要です。

XML ワークスペース ドキュメントのラスタ

XML ドキュメントでは、ラスタ データセットは DataElement タグで囲まれます。タグには、「esri:DERasterDataset」の値が含まれます。

<DataElement xsi:type="esri:DERasterDataset">
       <CatalogPath>/V=sde.DEFAULT/RD=m8db.rocket.qa_ras_seattle2_xf</CatalogPath> 
       <Name>m8db.rocket.qa_ras_seattle2_xf</Name> 
       <Children xsi:type="esri:ArrayOfDataElement">
          <DataElement xsi:type="esri:DERasterBand">
            <CatalogPath>/V=sde.DEFAULT/RD=m8db.rocket.qa_ras_seattle2_xf/RB=Band_1</CatalogPath> 
            <Name>Band_1</Name> 
            <DatasetType>esriDTRasterBand</DatasetType> 
            <DSID>-1</DSID> 
            <Versioned>false</Versioned> 
            <CanVersion>false</CanVersion> 
            <HasOID>true</HasOID> 
            <OIDFieldName>ObjectID</OIDFieldName> 
            <Fields xsi:type="esri:Fields">
              <FieldArray xsi:type="esri:ArrayOfField">
                <Field xsi:type="esri:Field">
                    <Name>ObjectID</Name> 
                    <Type>esriFieldTypeOID</Type> 
                    <IsNullable>false</IsNullable> 
                    <Length>4</Length> 
                    <Precision>0</Precision> 
                    <Scale>0</Scale> 
                    <Required>true</Required> 
                    <Editable>false</Editable> 
                </Field>
                <Field xsi:type="esri:Field">
                    <Name>Value</Name> 
                    <Type>esriFieldTypeInteger</Type> 
                    <IsNullable>true</IsNullable> 
                    <Length>0</Length> 
                    <Precision>0</Precision> 
                    <Scale>0</Scale> 
               </Field>
               <Field xsi:type="esri:Field">
                    <Name>Count</Name> 
                    <Type>esriFieldTypeInteger</Type> 
                    <IsNullable>true</IsNullable> 
                    <Length>0</Length> 
                    <Precision>0</Precision> 
                    <Scale>0</Scale> 
               </Field>
             </FieldArray>
         </Fields>
         <Indexes xsi:type="esri:Indexes">
           <IndexArray xsi:type="esri:ArrayOfIndex" /> 
         </Indexes>
         <IsInteger>true</IsInteger> 
         <MeanCellHeight>0.175996089009095</MeanCellHeight> 
         <MeanCellWidth>0.176000337991447</MeanCellWidth> 
         <Height>1024</Height> 
         <Width>2048</Width> 
         <PixelType>U8</PixelType> 
         <PrimaryField>1</PrimaryField> 
         <TableType>esriRasterTableValue</TableType> 
         <Extent xsi:type="esri:EnvelopeN">
            <XMin>-179.906382261841</XMin> 
            <YMin>-90.1303147686327</YMin> 
            <XMax>180.542309944643</XMax> 
            <YMax>90.089680376681</YMax> 
            <SpatialReference xsi:type="esri:GeographicCoordinateSystem">
   <WKT>GEOGCS["GCS_WGS_1984", DATUM["D_WGS_1984", SPHEROID["WGS_1984",6378137.0,298.257223563]], PRIMEM["Greenwich",0.0], UNIT["Degree",0.0174532925199433]]</WKT> 
          <XOrigin>-400</XOrigin> 
          <YOrigin>-400</YOrigin> 
          <XYScale>11258999068426.2</XYScale> 
          <ZOrigin>0</ZOrigin> 
          <ZScale>1</ZScale> 
          <MOrigin>0</MOrigin> 
          <MScale>1</MScale> 
          <XYTolerance>8.98315284119521E-09</XYTolerance> 
          <ZTolerance>2</ZTolerance> 
          <MTolerance>2</MTolerance> 
          <HighPrecision>true</HighPrecision> 
          <LeftLongitude>-180</LeftLongitude> 
         </SpatialReference>
        </Extent>
      </DataElement>
7/11/2014