空間参照の概要

一般的に地理データはその分類に応じて個別のレイヤに格納されます。たとえば、道路、パーセル、建物がそれぞれ別のレイヤに格納されます。表示や検索の際に各レイヤのデータを統合するには、各レイヤが地表の場所を共通の方法で参照している必要があります。座標系はそのためのフレームワークとなり、異なる地域のデータを異なる方法で参照するために必要なフレームワークも提供します。ジオデータベースの各レイヤには、その場所のジオリファレンス方法を定義する座標系があります。

ジオデータベースでは、座標系と関連する空間プロパティが各データセットの空間参照の一部として定義されます。空間参照とは、各フィーチャクラスとラスタ データセットに加えて、XY 座標および必要に応じて Z 座標と M(メジャー)座標の座標解像度などの座標プロパティを格納するために使用する座標系です。さらに、標高を表す Z 座標を持つデータセットに対して、鉛直座標系を定義することもできます。これらのプロパティの詳細については、「空間参照のプロパティ」をご参照ください。

ArcGIS 9.2 よりも前のバージョンでは、空間参照は低精度でした。座標格納用の限られた領域に割り当てられていたため、近接する座標を格納すると同時に大きなドメイン範囲を持つことは不可能でした。ArcGIS 9.2 では高精度の空間参照が作成され、管理されるため、座標格納用に割り当てられる領域が広がり、近接する座標を格納すると同時にデータセットの X、Y、Z、M ドメインを拡張することが可能になりました。解像度と座標系によってデータセットの範囲が定義されるため、ユーザがドメインの範囲を定義する必要はありません。これらの機能を利用するために、既存のデータの空間参照を高精度にアップグレードすることができます。詳細については、「高精度への移行」をご参照ください。ArcGIS 9.2 では、低精度の空間参照も引き続き使用することができます。詳細については、「ArcGIS 9.2 以前の空間参照の操作」をご参照ください。

5/10/2014