ライブ交通量データ

このヘルプ トピックでは、ライブ交通量の機能に関する概念的な情報を扱います。交通量の概要については、「交通量データとは」をご参照ください。ライブ交通量の設定に関する手順を追った説明については、「ネットワーク データセットの交通量データの設定」とチュートリアル演習 10 をご参照ください。ライブ交通量データを使用してネットワーク解析を実行する方法については、「交通量データを使用したネットワーク解析」とチュートリアル演習 11 をご参照ください。

ライブ交通量の機能

ネットワーク データセットは DTF(Dynamic Traffic Format)ファイルからライブ走行速度を読み取り、TMC(Traffic Message Channel)コードを使用して速度をエッジに関連付けます(TMC コードは、交通量データ プロバイダをはじめとするさまざまな組織でサポートされている標準的な一意な識別子です)。次の図とその下の解説は、このプロセスを説明しています。

一般的なライブ交通量
  1. ネットワーク データセットが、あるエッジの現在の移動時間を検索します。これは、ネットワーク解析レイヤの解析中、または交通量のマップへの描画中に発生します。

  2. 識別用のソース フィーチャ情報(ソース フィーチャクラス、ソース フィーチャ、From-To 位置および To-From 位置)を使用して、1 つ以上の TMC 値が検索されます。この検索は、ネットワークが最後に構築された時点の道路 - TMC 結合テーブルに格納されていた情報を使って行われます(道路 - TMC 結合テーブルでは、単純に道路が TMC に関連付けられます。次のセクションで詳しく説明します)。

    詳細詳細:

    図中の道路 - TMC 結合テーブルの回りの赤い枠は、あまりにも単純化しすぎた図をハイライトします。ネットワーク データセットは検索処理中に結合テーブルを直接参照しません。直接参照すると時間がかかりすぎます。処理を速くするために、結合テーブルの情報は構築時にネットワーク データセットに取り込まれ、内部で参照されます。そのため、道路 - TMC テーブルを変更しても、ネットワークが再構築されるまでネットワークには取り込まれません。

  3. ネットワーク データセットは DTF ファイル(ネットワーク データセット用に設計されたバイナリ ファイル)を検索して、移動速度の情報を読み取ります。ファイルは、ローカル パスまたは UNC パスを使用して指定したネットワーク データセットのディレクトリに保存されます([新規ネットワーク データセット] ウィザードあるいは [ネットワーク データセット プロパティ] ダイアログ ボックスの交通量ページにパスを入力します)。

    各 DTF ファイルには有効な時間範囲が示され、TMC および特定の時間に対応する各 TMC の移動速度が格納されています。エッジを検索する時間と日付が DTF ファイルの有効な時間範囲内にある場合のみ、ネットワーク データセットは DTF ファイルを開きます。多くの場合、複数の DTF ファイルの有効な時間範囲が、検索した時刻に該当します。これは、ライブ交通量に今後 12 時間などの特定の深度の交通量予測が含まれている場合に発生します。検索した時間に対して複数の有効なファイルが存在する場合は、検索した時間の直前に作成されたファイルが開きます。

    詳細詳細:

    1 回の解析につき 1 つの DTF ファイルしか開きません。つまり、有効なファイルが複数存在する場合でも、その解析プロセスの期間を通じて使用されるファイルは 1 つだけです。解析でエッジに対してファイルの時間範囲外の日時が検索されたときは、常に代わりに履歴交通量テーブルから移動時間の取得が試みられます。

    ジオプロセシング サービスを通して DTF ファイルにアクセスする場合、インデックス ファイルとダウンロードした DTF ファイルを含むフォルダは %AppData%\Roaming\ESRI\Local Caches\TrafficCache に作成されます。フォルダの名前はジオプロセシング サービスの名前と同じになりますが、ファイル パスに無効な文字が使用されている場合は変更されます。たとえば、コロンとスラッシュはアンダースコアで置き換えられるため、フォルダ名は「http://」ではなく「http___」で始まります。フォルダ名の残りの部分も同様の方法で処理されて、サービス名の残りの部分とほぼ同じになります。

  4. DTF ファイルが開いた後は、TMC とそれに関連付けられている移動速度が検索対象のエッジの長さと組み合わされて、実際の移動時間が決定されます。

    有効な TMC 値または DTF ファイルが見つからない場合、ネットワーク データセットは履歴交通量に戻って移動時間を取得します。履歴移動時間が存在しない場合は、エッジに対して検索された曜日に基づいて、週末または平日特有のネットワーク コスト属性のどちらかに戻ります。この代替手順は、交通量ベースのコスト属性のエッジ交通量エバリュエータに設定されます。

DTF ファイルの作成

上の図の一番右側は、DTF ファイルが生成される様子を示しています。通常はデータ ベンダが提供する Web サービスである交通量フィードには、[交通量データの更新(Update Traffic Data)] ジオプロセシング ツールを使用してアクセスします。ツールは交通量フィードからデータを読み取り、情報を変換して DTF ファイルに格納します。作成された DTF ファイルは、ファイル システム フォルダに保存されます。

DTF ファイルに保存される移動速度は、ファイルが作成された時点の現行速度です。最新の交通量データが利用されるようにするには、[交通量データの更新(Update Traffic Data)] を頻繁に実行するか、DTF ファイルの生成を自動化します。新規 DTF ファイルを一定の間隔(たとえば、5 分間隔)で自動的に生成するには、たとえば [交通量データの更新(Update Traffic Data)] を実行する Python スクリプトを作成し、Windows のタスク スケジューラを使用してこのスクリプトを定期的に実行します。

DTF ファイルを格納するフォルダは、UNC パスまたはローカル パスを使用して、ローカルで共有およびアクセスすることができます。

道路 - TMC 結合テーブル

道路 - TMC 結合テーブルは、DTF ファイルに保存されている速度の値にエッジを関連付けるために必要な情報を提供します。一般に、このテーブルはデータ ベンダから道路データとともに提供されます。

次の表は、道路 - TMC 結合テーブルの必須フィールド、フィールド名の例、可能なデータ タイプ、簡単な説明を示しています。

注意注意:

Network Analyst チュートリアル データは、ArcGIS.com で入手でき、参照用に道路 - TMC テーブルを含むサンディエゴ ネットワーク データセットが用意されています。データをダウンロードして抽出すると、サンディエゴ ジオデータベースは \Network Analyst\Tutorial\SanDiego.gdb に配置されます。

フィールド

フィールド名の例

データ タイプ

説明

エッジ フィーチャクラス識別子

EdgeFCID

このフィールドの名前は EdgeFCID にしなければなりません。

Long integer

道路フィーチャが格納されるフィーチャクラスを指定します。

エッジ フィーチャ識別子

EdgeFID

このフィールドの名前は EdgeFID にしなければなりません。

Long integer

道路フィーチャを指定します。

エッジの方向

EdgeFrmPos

このフィールドの名前は EdgeFrmPos にしなければなりません。

Double

EdgeToPos と組み合わせて、移動の方向または道路の側を示します。ゼロは、デジタイズの方向で決まるライン フィーチャの始点を示します。1 はその反対側を示します。

たとえば、EdgeFrmPos の値が 0 で EdgeToPos の値が 1 なら、ライン フィーチャのデジタイズ方向への移動を示します。同じレコードにリストされている TMC 値は、道路のその側のみを表します。

10 進数値は、フィーチャのデジタイズ方向に沿った位置を指定します。これにより、[ネットワークのディゾルブ(Dissolve Network)] ツールは、エッジがディゾルブされた後も道路の正しい TMC 値を維持できます。

エッジの方向

EdgeToPos

このフィールドの名前は EdgeToPos にしなければなりません。

Double

EdgeFrmPos と組み合わせて、移動の方向または道路の側を示します。

TMC コード

TMC

String

関連付けられた道路セグメントを表す TMC コード。

ライブ交通量データの設定および更新の概要

次のリストは、ライブ交通量を設定する前に必要な手順の概要を示しています。

新規ネットワーク データセットでのライブ交通量の設定の詳細

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5/28/2014