演習 12: 規制属性を使用したネットワーク解析の実行
この演習では、規制属性の [規制の使用法] パラメータの値をさまざまに変更して、有料道路を避け、指定したトラック ルートを優先する簡単なルートを解析します。
この演習と Network Analyst チュートリアルの他の演習で使用されるデータは、ArcGIS.com から入手できます。データをダウンロードしたら、任意の場所に抽出することができます。ただし、チュートリアルでデータのデフォルトの場所として参照される C:\arcgis\ArcTutor に抽出すると便利です。
Network Analyst コントロールを ArcMap へ追加
- ArcMap ですでに Exercise12.mxd を開いている場合は、ステップ 6 に進みます。
- [スタート] → [すべてのプログラム] → [ArcGIS] → [ArcMap 10.2.2] の順にクリックして、ArcMap を起動します。
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[ArcMap - はじめに] ダイアログ ボックスで、[既存のマップ] → [詳細検索] の順にクリックします。
[ArcMap ドキュメントを開く] ダイアログ ボックスが表示されます。
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C:\ArcGIS\ArcTutor\Network Analyst\Tutorial を参照します。
これはチュートリアル データが格納されているデフォルトの場所です。
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Exercise12.mxd をダブルクリックします。
ArcMap にマップ ドキュメントが表示されます。
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ArcGIS Network Analyst エクステンションを有効にします。
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[カスタマイズ] → [エクステンション] の順にクリックします。
[エクステンション] ダイアログ ボックスが開きます。
- [Network Analyst] をオンにします。
- [閉じる] をクリックします。
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[カスタマイズ] → [エクステンション] の順にクリックします。
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[カスタマイズ] → [ツールバー] → [Network Analyst] の順に選択します。
[Network Analyst] ツールバーが ArcMap に追加されます。
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[Network Analyst] ツールバーで、[Network Analyst ウィンドウ] ボタン をクリックします。
[Network Analyst] ウィンドウはドッキング/ドッキング解除できます。
[Network Analyst] ツールバーが表示されていない場合は、このツールバーを追加してください。
[Network Analyst] ウィンドウが表示されていない場合は、このウィンドウを追加してください。
ネットワーク データセット プロパティでの規制の使用法パラメータの確認
このマップには、サンディエゴ地域の道路網が表示されます。マップの南東にある紫色の幹線道路は、有料道路を表しています。指定されたトラック ルートは、白いライン フィーチャに沿った白色のひし形で表されています。
現在マップに表示されているネットワーク データセットには多くの規制属性があり、ルートの優先事項と要件を満たすようにこれらを使用できます。このセクションでは、規制属性を構成する方法を確認し、そのデフォルト パラメータである [規制の使用法] について学習します。
- [標準] ツールバーの [カタログ] ボタン をクリックします。
[カタログ] ウィンドウが開きます。
-
C:\ArcGIS\ArcTutor\Network Analyst\Tutorial を参照します。
これはチュートリアル データが格納されているデフォルトの場所です。
- [SanDiego.gdb] → [Transportation] → [Streets_ND] の順にダブルクリックします。
[ネットワーク データセット プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。
- [属性] タブをクリックします。
ネットワークの属性がすべて表示されます。表示された属性のほとんどは規制属性です。規制属性は、運転上の優先事項や要件を表します。たとえば、[Avoid Unpaved Roads] では、砂利、泥、またはその他の未舗装路を回避します。[Height Restriction] は、車両の高さより低い車高制限を迂回できるようにします。車両に腐食性物質を積載している場合は、[HazMat: Corrosive Goods Restricted] の規制を使用して、腐食性物質の運搬が法律で禁止されている道路の通行を回避します。
規制属性を作成するときに、[規制の使用法] という名前のパラメータが自動的に追加されます。以下の手順では、このパラメータを詳しく説明します。
- [追加] をクリックします。
[新規属性の追加] ダイアログ ボックスが表示されます。
- [使用タイプ] ドロップダウン リストで [規制] を選択します。
[規制の使用法] プロパティが有効になります。
- [規制の使用法] ドロップダウン リストをクリックして、利用可能なオプションを確認します。
このプロパティは、[規制の使用法] パラメータのデフォルト値を設定し、作成している規制属性のデフォルトの動作を設定します。値は、規制を使用するエレメントを禁止、優先、または回避のいずれにするかを指定し、回避または優先の場合はそのレベルも指定します。
この後の演習で、規制属性を使用して有料道路を避ける方法を学習します。[Avoid Toll Roads] 規制では、[規制の使用法] パラメータのデフォルト値は [回避: 中] です。つまり、この規制を使用すると、可能な場合は有料道路を回避するルートが検索されます。[回避: 中] は、ネットワーク解析で有料道路を回避する重要度も指定します。この場合の優先度は中程度です。[回避: 低] を選択すると、有料道路を回避する重要度が下がります。[回避: 高] を選択すると重要度が上がり、有料道路を回避するためにより長い距離のルートも生成可能になります。[禁止] を選択すると有料道路の通行は完全に禁止され、ルートでは有料道路のいずれの部分も通行できなくなります。
有料道路を回避または禁止する(つまり、料金の支払いを避ける)ことが目的となる場合もありますが、運転手によっては、通行料を払うよりも渋滞を避けることに価値があると考えて、有料道路の使用を優先する場合もあります。その場合は、[優先: 低]、[優先: 中]、または [優先: 高] を選択します。優先度が高いほど、規制を使用するエレメントを通過するために遠回りするようになります。
これらの認識や必要性の違いのため、ArcGIS Network Analyst エクステンションはデフォルトで [規制の使用法] パラメータを追加して属性を規制します。パラメータであるため、解析を行うごとに、前もって規制に対応する方法を選択することができます。
- [キャンセル] をクリックします。
[新規属性の追加] ダイアログ ボックスが閉じます。
- [Avoid Toll Roads] をクリックします。
- [パラメータ] をクリックします。
[Avoid Toll Roads Parameters] ダイアログ ボックスが表示されます。デフォルト値は [回避: 中] に設定されています。この値をクリックして別の値を選択すると、デフォルト値が変更されます。ここでは、値をそのままにしておきます。
- [キャンセル] をクリックします。
[Avoid Toll Roads Parameters] ダイアログ ボックスが閉じます。
- [キャンセル] をクリックします。
[ネットワーク データセット プロパティ] ダイアログ ボックスが閉じます。
[規制の使用法] パラメータのデフォルト値は、いつでも変更できます。次の手順では、デフォルト値を変更する方法を説明します。
ネットワーク解析レイヤ プロパティでの規制の使用法パラメータの確認
このセクションでは、ネットワーク解析レイヤの規制属性の設定を表示および変更できる場所について説明します。
- [Network Analyst] ツールバーの [Network Analyst] をクリックし、[新規ルート] をクリックします。
[Network Analyst] ウィンドウと [コンテンツ] ウィンドウで、ドキュメントにルート解析レイヤが追加されます。
- [Network Analyst] ウィンドウの [解析レイヤ プロパティ] ボタンをクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。
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[解析の設定] タブをクリックします。
タブの [規制] フレームに、利用可能な規制がすべて表示されます。このネットワーク解析レイヤは、前のセクションで検証した同じネットワーク データセットに作成されているため、ここでは同じ規制属性が表示されます。[Avoid Toll Roads] はデフォルトで使用されないため、オフになっています。
- [属性パラメータ] タブをクリックします。
パラメータを持つすべてのネットワーク属性が表示されます。規制属性にはデフォルトで [規制の使用法] パラメータがあるため、すべてここに表示されます。
[値] 列で、現在の解析レイヤに対して別のパラメータ値を選択できます。
- [キャンセル] をクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが閉じます。
ルート解析の実行
このセクションでは、解析にストップを読み込み、デフォルトの解析設定を使用して解析を実行します。
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[Network Analyst] ウィンドウで [ストップ(0)] を右クリックし、[ロケーションの読み込み] を選択します。
[ロケーションの読み込み] ダイアログ ボックスが表示されます。
- [読み込み] ドロップダウン リストから、[ストップ] を選択します。
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[OK] をクリックします。
5 つのストップが読み込まれます。マップ上および [Network Analyst] ウィンドウに表示されます。
- [Network Analyst] ツールバーの [解析の実行] ボタン をクリックします。
あらかじめ定義された順序に従う最適なルートが、マップ上に表示されます3 番目のストップが有料道路上にあるため、ルートは有料道路に沿って移動しています。
有料道路の禁止
次に、有料道路に沿ったルートの移動を禁止して、同じルート解析を実行します。
- [Network Analyst] ウィンドウの [解析レイヤ プロパティ] ボタンをクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。
- [解析の設定] タブをクリックします。
- [規制] フレームで、[Avoid Toll Roads] をオンにします。
- [属性パラメータ] タブをクリックします。
- [Avoid Toll Roads] の値を、[回避: 中] から [禁止] に変更します。
- [OK] をクリックします。
- [Network Analyst] ツールバーの [解析の実行] ボタン をクリックします。
[Network Analyst メッセージ] ダイアログ ボックスに、有料道路上のストップに到達できないことを示す警告が表示されます。
これは、ネットワーク エレメントを完全に禁止することによる結果です。これらのエレメント上にあるネットワーク ロケーションには到達できません。次のセクションで説明するように、有料道路を完全に禁止する代わりに回避するように選択することで、ほとんどの部分で規制されたエレメントに入らないようにしながら、これらのエレメント上にあるネットワーク ロケーションに到達することも可能になります。
- [閉じる] をクリックします。
[Network Analyst メッセージ] ダイアログ ボックスが閉じます。
マップの表示は、ルートが有料道路を完全に迂回していて、3 番目のストップを訪れていない状態です。
有料道路の回避
次に、有料道路を単に回避するように指定して、同じルート解析を行います。
- [Network Analyst] ウィンドウの [解析レイヤ プロパティ] ボタンをクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。
- [属性パラメータ] タブをクリックします。
- [Avoid Toll Roads] を検索し、値を [禁止] から [回避: 中] に変更します。
- [OK] をクリックします。
- [Network Analyst] ツールバーの [解析の実行] ボタン をクリックします。
[Network Analyst メッセージ] ダイアログ ボックスに、規制を使用する道路上にストップがあり、有料道路を回避するように選択しても、結果のルートはこのストップを通過することを示す警告が表示されます。
- [閉じる] をクリックします。
[Network Analyst メッセージ] ダイアログ ボックスが閉じます。
マップの表示では、ルートは有料道路の南部分を回避していますが、ストップ 3 と、その後のストップ 4 に到達するために有料道路を移動しています。ストップ 3 からストップ 4 へは有料道路を使用しなくても到達できますが、[規制の使用法] パラメータの値が [回避: 中] の場合、Network Analyst は迂回に要する距離が長すぎると判断しました。
次の手順では、有料道路を回避する重要度をさらに大きくしたときの結果を確認します。
- [Network Analyst] ウィンドウの [解析レイヤ プロパティ] ボタンをクリックします。
- [属性パラメータ] タブをクリックします。
- [Avoid Toll Roads] を検索して、値を [回避: 高] に変更します。
- [OK] をクリックします。
- [Network Analyst] ツールバーの [解析の実行] ボタン をクリックします。
[Network Analyst メッセージ] ダイアログ ボックスに、前回と同じ警告が表示されます。
- [閉じる] をクリックします。
[Network Analyst メッセージ] ダイアログ ボックスが閉じます。
マップでは、ストップ 3 に到達するためにルートが有料道路に入り、その後すぐに有料道路から出ていることを確認できます。
ヒント:2 つの連続する解析操作をすばやく比較するには、[元に戻す] ボタン をクリックした後、[やり直し] ボタン をクリックします。
指定されたトラック ルートの優先
このセクションでは、同じルート解析レイヤを使用して有料道路を避けながら、自動車の代わりにトラックの最適なルートを検索します。今回は、指定されたトラック ルートを優先するように規制属性を使用します。
- [Network Analyst] ウィンドウの [解析レイヤ プロパティ] ボタンをクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。
- [解析の設定] タブをクリックします。
- [規制] フレームで、[Driving an Automobile] をオフにします。
- [Driving a Truck] をオンにします。
この規制属性は、トラックの通行が禁止されている道路を表します。この属性の [規制の使用法] パラメータのデフォルト値は [禁止] です。このパラメータ値は変更しません。
- [National STAA Preferred Route] をオンにします。
この規制属性は、連邦政府によってトラック ルートとして指定されている道路を表します。この指定は、トラックの運転に役立つ、車高制限と重量制限に関する最小限の基準を含む道路に設定されます。トラックの運転手は、指定されたトラック ルートにできる限り従うことで、多くの潜在的な問題を避けることができます。
この指定のある道路は、白いラインとひし形のハッシュ マークでマップ上にシンボル表示されます。
この規制属性と「National STAA and Locally Preferred Routes」属性を混同しないようにしてください。後者の規制属性には、連邦政府の規格に従っていない可能性がある道路が含まれています。
- [属性パラメータ] タブをクリックします。
- [National STAA Preferred Route] を検索して、デフォルト値が [優先: 中] であることを確認します。
- [OK] をクリックします。
- [Network Analyst] ツールバーの [解析の実行] ボタン をクリックします。ルートは同じままです。ルートのほとんどは、すでに National STAA の道路に沿っています。
- [Network Analyst] ウィンドウの [解析レイヤ プロパティ] ボタンをクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。
- [属性パラメータ] タブをクリックします。
- [National STAA Preferred Route] を検索し、値を [優先: 高] に変更します。
- [OK] をクリックします。
- [Network Analyst] ツールバーの [解析の実行] ボタン をクリックします。
ルート全体は長くなりましたが、National STAA 道路として指定されていない道路を移動する時間は減少しました。
この演習では、規制属性を使用して移動の優先事項と要件をモデル化できることを確認しました。解析を行う際には、さまざまな規制属性と [規制の使用法] パラメータ値が結果に影響します。
この演習では、説明を簡単にするためにルート解析レイヤを使用して規制の機能を説明しましたが、これらの機能は他のネットワーク解析レイヤでも同様に使用できます。