コンターの仕組み
コンターとは、標高、温度、雨量、汚染、気圧などの連続的現象を表すラスタ データセット内で値が等しい位置をつないだラインのことを言います。ライン フィーチャが入力の定数値のセルを接続します。コンター ラインは、一般に等値線と呼ばれることが多いのですが、計測対象に応じて特定の用語が使用されることもあります。たとえば、圧力の場合は等圧線、温度の場合は等温線、雨量の場合は等降水量線と呼ばれます。
コンター ラインの分布は、サーフェスで値がどのように変化しているかを示します。値の変化がほとんどない場合は、ラインの間隔はかなり離れています。値が急に上下する場合は、ラインの間隔は互いに接近しています。
コンター作成ツールである [コンター(Contour)]、[コンター リスト(Contour List)] および [入力バリア設定を含むコンター(Contour with Barriers)] は、入力ラスタからポリライン フィーチャ データセットを作成するときに使用されます。
コンターを作成する目的
特定のコンターのポリラインをたどることによって、同じ値を持つ位置を確認できます。また、コンターは便利なサーフェス表現です。コンターにより、平坦な地域と傾斜が大きいエリア(コンター間の距離)、および尾根と谷(ポリラインの密集と分散)を同時に視覚化できるからです。
以下に、入力標高データセットと出力コンター データセットの例を示します。コンターが相互に接近しているエリアは、勾配が急になっていることを示しています。そのエリアは、標高が高くなっているエリアと一致します(入力標高データセットの白色の部分)。
コンターの属性テーブルには、各コンターのポリラインの標高属性があります。
コンターの品質
コンター ツールでは、ラスタ サーフェスの正確な解釈を表したエンジニアリング品質のコンターを生成できます。全体的なコンター精度は、入力ラスタの作成に使用されるデータが、実際のサーフェスをどの程度まで正確に表しているかに応じて決まります。
使用するラスタ セルのサイズは出力コンターの外観に影響をおよぼします。セル サイズが大きいと、粗くごつごつしたコンターになる可能性があります。
時にはエンジニアリング品質のコンター同士が交わり、交差しているように見えたり、閉じていない分岐ラインを形成したりすることがあります。交差コンターは、ちょうどコンター間隔に一致する鞍形の領域で発生することがあります。他にも、コンター同士が互いに近づきすぎて、交差しているように見えることがあります。分岐コンターが発生するのは、ちょうどコンター間隔に一致する尾根が交差した場合です。上記はすべて、サーフェスに対する有効なエンジニアリング品質の解釈であり、見栄えをよくするために地図製作者が修正を施すのが一般的です。
コンター品質の管理
ときに、ラスタ セル境界をなぞったように見える、角張ってごつごつしたコンターが作成されることがあります。これは、ラスタ値が整数で、コンターの値とちょうど一致する場合に発生します。これは問題ではありません。たんにデータを正確にコンター処理しただけです。
コンターをなめらかにしたい場合は、この状況を克服する方法として、ソース データのスムージングまたはベース コンターの調整があります。
データのスムージング
ArcGIS Spatial Analyst エクステンションのライセンスを持っている場合、最も簡単なスムージング手法は、[フォーカル統計(Focal Statistics)] ツールで平均値を使用して入力ラスタを前処理することです。
別の方法として、Z 値を少し調整して、ラスタのセルのちょうど中央をコンターが通過しないようにする方法もあります。この場合も、[フォーカル統計(Focal Statistics)] ツールを使用しますが、平均値ではなく、カスタムの加重カーネル ファイルと合計を使用します。カーネル ファイルの構造は次のとおりです。
3 3 .005 .005 .005 .005 .960 .005 .005 .005 .005
Z 値の調整はわずかであるため、コンターの精度には大きな影響がおよびません。この調整は中央のラスタ セルが有利になるように行われます。
ベース コンターの調整
ベース コンターの調整では、ベース コンターをオフセットする必要があるため、結果としてコンターがセル中央を貫通しなくなります。オフセットには、きわめて小さい値を指定できます。0.0001 のような小さい値でも有効です。
この方法を [コンター リスト(Contour List)] ツールに適用するには、コンター リストの値を調整します。たとえば、600、650、700 などの代わりに、600.001、650.001、700.001 などの値を使用します。
USGS DEM のデータの問題
テストの結果、一部の古い USGS(United States Geological Survey)7.5 分 DEM(デジタル標高モデル)から作成したラスタから生成したコンターは、USGS から入手できる該当のマップ シートに示されたのと同じレベルの詳細さを実現できないことがあることが判明しました。これは DEM 本来のサンプリング間隔が要因となっていると思われます。USGS 7.5 分 DEM は、30 メートル間隔でサンプリングされていますが、マップ シート上のコンターは、ずっと高い詳細レベルでステレオ モデルから直接デジタイズされているようです。USGS の提供する新しい SDTS 形式の DEM には、この問題はありません。