Amazon Web Services の用語について
ArcGIS Server on Amazon Web Services の使用を開始する前に、使用法の学習に役立ついくつかの新しい用語および概念を紹介します。
ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services
ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services は、Amazon EC2 内での ArcGIS Server サイトの構築に役立つ、無料でダウンロードできるアプリケーションです。このアプリケーションはユーザのデスクトップ上で動作し、ログインするには Amazon のアクセス キーとシークレット アクセス キーが必要です。アプリケーションにログインしたら、サイトに使用したいオペレーティング システムとサイトに収容可能なコンピュータの数を、他のいくつかのパラメータとともに選択します。次にボタンをクリックすると、サイトが作成されます。また、このアプリケーションによって作成した既存のサイトを編集することもできます。
AWS Management Console
AWS Management Console は、Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)インスタンスを管理するための Amazon の Web ベースのインタフェースです。サイトのほとんどの管理タスクは、Cloud Builder で実行でき、また実行するべきですが、AWS Management Console を使用すると、記憶ボリュームを追加したり、セキュリティ グループを調整したりして、ArcGIS サイトのアーキテクチャの微調整を行うことができます。
AWS Management Console には、クラウドを利用するために Amazon で設定したアカウントを使用してログインする必要があります。AWS Management Console では、ユーザのアカウント情報や累積料金を表示できます。
EC2 インスタンス
EC2 インスタンスは、EC2 で作成する仮想コンピュータです。インスタンスの作成には、オペレーティング システムで事前に構成された AMI と、すでにインストール済みの ArcGIS ソフトウェアが使用されます。ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services でサイトを作成すると、EC2 インスタンスが内部で自動的に作成されます。
次に示す AMI を利用できます。各 AMI にはデータベース管理システム(DBMS)が組み込まれているため、バージョニングやその他の利点を備えた ArcSDE ジオデータベースを作成することができます。
- ArcGIS for Server (Windows) with Microsoft SQL Server Express - Workgroup ジオデータベースに最適です(ただし、エンタープライズ ジオデータベースにも使用できます)。 Windows Server 2012 上で動作します。
- ArcGIS for Server (Windows) with Microsoft SQL Server - エンタープライズ ジオデータベースに最適です。 Windows Server 2012 上で動作します。
- ArcGIS for Server (Linux) with PostgreSQL - Ubuntu Linux 上で動作します。
オプションとして、ジオデータベースを別のインスタンス上に作成してから ArcGIS Server インスタンスにアタッチできます。
インスタンスの作成後は、そのインスタンスへのログインが可能になります。たとえば、Windows リモート デスクトップ接続を使用して Windows インスタンスにアクセスできます。以前に ArcGIS を操作したことがある場合、ここからの操作は見覚えがあるはずです。たとえば、インスタンスにログイン後、ArcMap を使用してサービスを作成および管理できます。
EC2 インスタンスは、コンピュータをシャットダウンおよび起動する場合とほとんど同じ方法で停止および起動できます。また、インスタンスは、不要になれば削除させることもできます。インスタンスを削除すると、そのインスタンスに関するすべての情報が失われます。このため、インスタンスにアタッチされた Amazon EBS(Elastic Block Store)ボリュームにデータを格納しておくことをお勧めします。また、必要に応じて、Amazon S3(Simple Storage Service)を使用してデータをバックアップするようにしてください。
インスタンスを作成したら、データ、サービス、およびその他のプログラムを追加します。希望どおりにインスタンスを構成したら、ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services を使用して、コンピュータの現在の状態が反映されたサイトのテンプレートを作成できます。このテンプレートを使用すると、データおよびサービスによってインスタンスが事前に構成されている本番環境サイトを起動できます。
EBS ボリューム
Amazon EBS(Elastic Block Store)ボリュームは、EC2 インスタンスにアタッチしてデータ格納領域を追加できる仮想ディスク ドライブです。ArcGIS Server Windows AMI は EBS ボリュームを作成し、そのボリュームを D: ドライブとしてインスタンスにアタッチします。ArcGIS Server Ubuntu AMI もまた、/gisdata という EBS ボリュームを作成し、インスタンスにマウントします。このボリュームのサイズは Cloud Builder で構成できます。AWS Management Console からサイトを起動した場合は 10 GB です。
これらの事前にアタッチされたボリューム上にデータを格納するか、別のサイズのボリュームにそれらのボリュームを置き換えるか、追加ボリュームをアタッチすることを選択できます。
ユーザ独自の EBS ボリュームを作成する場合は、ドライブのフォーマットとそのドライブのアタッチという作業を実行する必要があります(たとえば、EBS ボリュームを Windows 上のドライブ E: として構成できます)。ドライブは、必要なだけの領域が確保されるように構成できます。
EBS ボリュームは、ご利用のソフトウェアとは無関係に、クラウド内のデータを管理できる優れた方法です。たとえば、簡単に EBS ボリュームをあるインスタンスからデタッチして、別のインスタンスにアタッチできます。インスタンスを終了すると、以前にアタッチされた EBS ボリュームが後に残されますが、ユーザは必要に応じてこれらのボリュームを他のインスタンスにアタッチできます。
EBS ボリュームのスナップショットを作成すると、全く同じボリュームをすばやく生成することができます。スナップショットは、Amazon アベイラビリティ ゾーンを超えてデータを共有する必要がある場合や同じデータを複数の Amazon アカウントで使用できるようにしたい場合に便利です。最終的に、スナップショットはデータのバックアップ手段になります。何らかの理由でボリュームが破損した場合は、特にデータを失うこともなく、元のスナップショットから新しいボリュームを配置できます。
Elastic Load Balancer
Amazon ELB(Elastic Load Balancer)は、複数の EC2 インスタンス間に作業を分散させるための方法です。サーバへのすべてのリクエストがこのロード バランサを経由した後に、使用可能な EC2 インスタンスへと均一に分散されます。参加している EC2 インスタンスは、ロード バランサに対していつでも追加/削除できます。ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services を使用してサイトを構築する場合、ELB がユーザ用に構築され、その下に GIS サーバ インスタンスが配置されます。
リージョンおよびアベイラビリティ ゾーン
Amazon EC2 は、世界中に配置された複数のデータ センターを利用して、エンタープライズ アーキテクチャが抱える課題の解決に取り組んでいます。
- Amazon のリージョンは、米国、ヨーロッパ、アジアなど、地理的に分散した場所にあるデータ センター施設を表しています。
- Amazon Availability Zone は、リージョン内の特定の場所のことで、他の Availability Zone で発生した障害から隔離されるように設計されています。複数のゾーンでアプリケーションを構成することで、ゾーンの 1 つで障害が発生した場合の可用性を強化することができます。
Relational Database Service
Amazon Relational Database Service(RDS)は、データベース インスタンスへのアクセスを提供する Web サービスです。Amazon は、データベース ソフトウェアにパッチを適用し、データベースのバックアップを作成します。このバックアップは、デフォルトでは 1 日間保持されます。ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services を使用して ArcGIS Server サイトを構築した場合、Amazon RDS for Microsoft SQL Server インスタンスをサイトに含めることができます。
S3
Amazon S3(Simple Storage Service)は、クラウド内のデータ格納専用に設計された Amazon のサービスです。このストレージ オプションを利用すると、データの障害や損失が発生する可能性が最も低くなります。S3 は、データのバックアップ用の場所として、またはオンプレミスの配置と EBS ボリューム間でデータを転送する際の中間地点として使用できます。また、作成した EBS ボリュームのスナップショットは、すべて S3 に格納されます。