ArcGIS でのマップ ブックの作成

ArcGIS には、マップ ブックを印刷形式または Adobe PDF 形式で作成するために必要なすべてのツールがあります。マップ ブックとは、一緒に印刷またはエクスポートされるページのコレクションのことです。ページの多くにマップが含まれていますが、その他のページは、テキスト、表形式の情報、目次、タイトル ページ、またはその他のコンテンツで構成されていることがあります。

最も単純な方法では、タイトル ページを手動で印刷してから、マップ ページやその他の編集済みドキュメントに含めたい内容を印刷することで、誰もがマップ ブックを作成できます。しかし、このプロセスをソフトウェアによって自動化できると、より合理的で効率的です。ArcGIS では、データ ドリブン ページと arcpy.mapping Python スクリプトを組み合わせることにより、この機能が提供されます。

データ ドリブン ページを使用すると、レイアウト ページのシリーズを単一のマップ ドキュメントからすばやく簡単に作成できます。フィーチャ レイヤ(インデックス レイヤ)が、レイヤ内の各インデックス フィーチャに基づいてマップを複数のセクションに分割し、インデックス フィーチャごとに 1 つのページを生成します。

データ ドリブン ページの概念図

データ ドリブン ページの詳細

arcpy.mapping は、ArcPy サイトパッケージの一部である Python スクリプト モジュールです。このモジュールは、エクスポートと印刷を自動化する機能を提供します。arcpy.mapping では、地図製作の自動化が可能です。arcpy.mapping はデータ ドリブン ページの機能を拡張し、PDF ドキュメントへのエクスポートや、PDF ドキュメントの作成と管理に必要な機能を持っているため、完全なマップ ブックの構築に必要とされます。

Python を使用したマップ ブックの構築の概念図

arcpy.mapping の詳細

マップ ブックのタイプ

作成できるマップ ブックの構成またはタイプには多数あります。

リファレンス シリーズ マップ ブック

リファレンス シリーズ マップ ブックは、詳細ページの範囲と一部のページ エレメントのコンテンツを除き、各ページのレイアウトが同一である一連のマップ ページです。リファレンス シリーズ マップ ブックには、タイトル ページ、概観図、補助ページ、およびその他の一意なページ レイアウトがありません。これは、ArcMap でデータ ドリブン ページを使用してすばやく定義でき、専用の arcpy.mapping エクスポート スクリプトを設定することなく [マップのエクスポート] ダイアログ ボックスを使用してエクスポートできます。

リファレンス シリーズ マップ ブックの例

上の例は、ミシガン州アレナク郡の地形マップ ブックを示しています。この 22 ページ シリーズは、インターネットに接続できる ArcMap ユーザであれば誰でも簡単に作成できます。データは、ArcGIS Online で利用できる USA Topographic Maps マップ サービスから取得されます。このマップ シリーズを再作成するために、その他のデータは必要ありません。このリファレンス シリーズは、データ ドリブン ページ、[データ ドリブン ページ] ツールセットから利用できるジオプロセシング ツール、データ フレーム プロパティ、およびダイナミック テキストを使用して、簡単に再作成できます。

上のマップ ブックを作成するには、以下のヘルプ トピックで説明されている手順に従います。

これらのトピックのステップは上に示したマップ ブックの例に適用されるものですが、これらのトピックに示されている手順とヒントはユーザ独自のマップおよびマップ ブックに適用することもできます。

タイトル ページおよびマップ インデックス(外観図)ページのあるマップ ブック

より内容の充実したマップ ブックには、タイトル ページとマップ インデックス(または概観図)ページが含まれています。これは、ArcMap のデータ ドリブン ページと arcpy.mapping Python スクリプトを組み合わせて使用することで作成できます。単一のマップ ドキュメント(単一レイアウト)のデータ ドリブン ページを使用してマップ ブックのマップ ページを作成し、別のマップ ドキュメントを使用してマップ インデックス ページを作成します。また、別のマップ ドキュメントを使用してタイトル ページを作成したり、他のソフトウェアを使用してタイトル ページの PDF ドキュメントを作成することもできます。これらすべての要素を単一のマップ ブックに統合するには、arcpy.mapping を使用します。

マップ ブックのタイトル ページの例

上の例は、ミシガン州アレナク郡の地形マップ ブックを示しています。このマップ ブックには、タイトル ページと概観図ページが含まれています。このドキュメントは、データ ドリブン ページと arcpy.mapping Python スクリプトを使用して作成できます。

これを行う方法の詳細な手順については、「タイトル ページと概観図ページのマップ ブックへの追加」をご参照ください。

補助ドキュメントのあるマップ ブック

多くのマップ ブックには、補助ドキュメントが含まれています。これらは、レポート テキスト、テーブル、インデックス、およびその他の補助データである場合があります。このようなタイプのマップ ブックは、ArcMap のデータ ドリブン ページと arcpy.mapping Python スクリプトを組み合わせて使用することで作成できます。

マップ ブックのレポート ページの例

上の例は、ミシガン州アレナク郡の地形マップ ブックを示しています。このマップ ブックには、テキスト情報、グラフ、および表形式データを提供する補助ページが数多く含まれています。このドキュメントは、データ ドリブン ページと arcpy.mapping Python スクリプトを使用して作成できます。

これを行う方法の詳細な手順については、「補助ページのマップ ブックへの挿入」をご参照ください。

見開きのあるマップ ブック

マップの作成者は、見開きを使用して「とじしろ」を確保できます。とじしろとは、マップ ブックのページを製本するために必要なスペースのことです。一般的に、これは、リファレンス マップ ブックとまったく同様に、連続するマップ範囲をカバーするリファレンス シリーズを含んでいるマップ ブックです。ただし、このマップ ブックはリファレンス シリーズとは異なり、2 つのマップ ドキュメント(左のページに 1 つ、右のページに 1 つ)のレイアウトを使用します。シリーズの範囲は、データ ドリブン ページを使用して定義されます。各マップ ドキュメントで同じセットのデータ ドリブン ページを作成します。arcpy.mapping Python スクリプトは、両方のマップ ドキュメントを使用し、左のページと右のページを適切な順序で組み立てて最終的な PDF ドキュメントにします。

見開きのあるマップ ブックの例

上の例は、見開きのあるミシガン州アレナク郡の地形マップ ブックを示しています。奇数のマップ ページ(たとえば、ページ 3)は、すべてのページ エレメントが左に揃えられているレイアウトであることに注目してください。偶数のマップ ページ(たとえば、ページ 4)は、右に揃えられています。これにより、製本のためのスペースが確保されます。また、ページ番号とロケータ マップがマップ レイアウトごとにページの外側になるように配置されています。それぞれのページの位置揃え(左と右の両方)は、個別の ArcMap ドキュメントに基づいています。このドキュメントは、データ ドリブン ページと arcpy.mapping Python スクリプトを使用して作成できます。

これを行う方法の詳細な手順については、「見開きのあるマップ ブックの作成」をご参照ください。

ストリップ マップ

ストリップ マップは、河川、道路、パイプラインなどのルートに沿ったマップ ページのセットです。マップの各ページには、ライン フィーチャの両側に定義済みの地理空間が表示されます。ストリップ マップの後続ページには、ラインに沿って下方向に進んだ先にある地理空間が示されます。隣接するマップ ページは、地理的にやや重なります。マップのフローが一定になるようにするため、ページの北方向は変化します。ストリップ マップは、ArcMap でデータ ドリブン ページを使用してすばやく定義し、[マップのエクスポート] ダイアログ ボックスを使用してエクスポートすることができます。

ストリップ マップの例

上の例は、都市ケルンおよびコブレンの間を流れるライン川のストリップ マップです。この 44 ページ シリーズは、インターネットに接続できる ArcMap ユーザであれば誰でも簡単に作成できます。データは、ArcGIS Online で利用できる World Topographic マップ サービスから取得されます。このストリップ マップは、データ ドリブン ページ、[データ ドリブン ページ] ツールセットから利用できるジオプロセシング ツール、データ フレーム プロパティ、およびダイナミック テキストを使用して、簡単に再作成できます。ストリップ マップのルートの決定に必要なライン フィーチャを作成する必要があります。これには、ArcMap の編集ツールで新しいライン フィーチャクラスを作成します。

上のストリップ マップのマップ ブックを作成するには、以下のヘルプ トピックで説明されている手順に従います。

これらのトピックのステップは上に示したストリップ マップの例に適用されるものですが、これらのトピックに示されている手順とヒントは、ユーザ独自のストリップ マップおよびマップ ブックに適用することもできます。

主題マップ ブック

主題マップ ブックはリファレンス シリーズに似ていますが、主題マップ ブックのそれぞれのページには、あるロケーションについて一意な主題を持つマップが表示されます。複数のマップ範囲を対象とする主題マップのシリーズを含んでいる主題リファンレス混成シリーズを作成することも可能です。リファレンス マップ ブックの場合と同様に、主題マップ ブックをエクスポートするには、記載するマップを定義し、ドキュメントの編纂手順を実行する Python スクリプトが必要です。

差し込み図のあるリファレンス マップ ブック

差し込みマップは、追加データ フレームを使用して表示される補助マップです。特定の地理的サブエリアを大きな縮尺で拡大表示して、メイン マップでは表示できない詳細情報を表示します。たとえば、多くのマップ ブックにおいて、人口が密集しているエリアの詳細を示すために差し込み図が使用されています。特定のページに差し込みマップを使用したマップ ブックを作成するには、データ ドリブン ページと arcgis スクリプトを統合します。次の図は、このようなマップ ブックの例を示しています。差し込みマップを含むページは 2 ページのみであり、ページ上に異なるサイズで異なる位置に表示されている点に注意してください。

リファレンス マップ ブックの例

このようなマップ ブックを作成する方法の 1 つとして、マップ ドキュメント セットの使用があります。差し込みマップを含んでいないページについては、データ ドリブン ページを含んでいる共有マップ ドキュメントを使用できます。差し込みマップを含んでいるページについては、別のマップ ドキュメントを使用できます。差し込みマップの場所がページによって異なる場合は、個別のマップ ドキュメントを使用して、それぞれの差し込みマップの場所を定義します。これで、すべてのマップ ドキュメントをインデックス レイヤを使用して同期できます。

特定のマップ範囲に使用するマップ ドキュメントを選択するフィールドをインデックス レイヤに作成します。これは、1 は差し込みマップのない基本マップ ドキュメントを使用する、2 はポジション A の差し込みマップがあるマップ ドキュメントを使用する、3 はポジション B の差し込みマップがあるマップ ドキュメントを使用する、などの簡単なもので十分です。さらにフィールドを追加して、差し込みマップ範囲を指定することもできます。

これで、スクリプトがページ リストを最初のマップ ドキュメントから取得し、マップ ドキュメント フィールドを使用してループ処理を行って、現在のページの出力を作成するために使用する必要のあるマップ ドキュメントを決定することができます。差し込みページの場合は、追加の差し込み範囲フィールドが出力の前に読み込まれ、適用されます。

特定のページに差し込みマップがあるマップ ブックを作成するには、単一のマップ ドキュメントと、カスタム ロジックを含むエクスポート スクリプトを使用する方法もあります。これにより、差し込みマップの表示だけでなく、ページ上でのサイズ、縮尺、および位置を制御することもできます。このワークフローの詳細な手順については、「差し込みマップのあるマップ ブックの作成」をご参照ください。

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5/10/2014