LAS データセットの考慮事項
LAS データセットを構築する前に、いくつかの事項を考慮する必要があります。以下は、LAS データセットに関するベスト プラクティスと推奨事項の一覧です。
サポートされる LIDAR データのタイプ
- ArcMap およびジオプロセシングでの LAS データセットのサポートは、主に航空機 LIDAR を対象にしています。
- 地上または航空機 LIDAR は、ArcScene で 3D 表現をするために使用できます。
- 航空機 LIDAR がより便利なのは、データが分類されている場合です(たとえば、地面と地面以外など)。
- ArcGIS は LAS バージョン 1.0、1.1、1.2、および 1.3 をサポートしています。また、ポイントのレコード形式 0 ~ 5 を含む、1.3 準拠の LAS バージョン 1.4 ファイルをサポートしています。ポイントのレコード形式 6 ~ 10 を含む LAS バージョン 1.4 ファイルはサポートされていません。
- ArcGIS の詳細な分類コードは、LAS バージョン 1.1 以上に基づいています。古い LAS バージョンの LAS ファイルの場合は、付属する分類コードを [LAS クラス コードの変更(Change LAS Class Codes)] ジオプロセシング ツールを使用して更新することを検討します。このツールを使用すると、それらのデータが現在の標準に準拠しているかを確認できます。
LAS ファイルの寸法とサイズ
- 最適なパフォーマンスを得るには、クライアント コンピュータが、ネットワーク経由や低速の外部ドライブ経由ではなく、ローカルの内蔵ドライブのデータに直接アクセスすることが必要になります。
- 同じプロジェクト(つまり、仕様、解析エリア)の LAS ファイルを使用して LAS データセットを構築します。LAS データセットは、異なるソースおよび解析エリアからのデータ収集を前提にしていません。そのような目的の場合は、モザイク データセットを使用します。
- 一般的に、LAS データセットは、タイル化されている LAS ファイルを使用して構築すると効果的です。LAS ファイルには、インデックスが作成され、各 LAS ファイルの LAS 補助ファイル(*.lasx)が含まれていない限り、大きいストリップまたは飛行コースの LIDAR データを含めるべきではありません。
- LAS データセットの補助ファイル(*.lasx)を作成するには、統計情報を計算します。これらの補助ファイルには、各 LAS ファイルについて計算された統計解析と空間インデックスが含まれています。空間インデックスがあると、LAS データセットの全体的なパフォーマンスが向上します。
- 一般的に、LAS 補助ファイル(*.lasx)を作成した場合は、LAS ファイル サイズを 500 MB 前後に維持することをお勧めします。ただし、LAS ファイルがこれよりはるかに大きくなる場合も多くあります。ArcGIS は、LAS 補助ファイルの空間インデックスを使用して、これらの非常に大きな LAS ファイルを効率的に処理します。空間インデックスが存在する場合、ArcGIS でのサイズ制限の重要性は低くなります。サイズの推奨事項は、ファイル/ディスクの断片化など、大きなファイルに対する実際のデータ管理上の問題に対処するためです。
- 統計情報を計算していない場合、最適なパフォーマンスを得るには、LAS タイルが連続していて重なり合っていないこと、およびサイズが 200 MB 以下であることが推奨されます。
空間参照
ArcGIS で LAS ファイルと空間参照を操作する場合、いくつかの注意事項があります。LAS 仕様では、すべての LAS ファイルのヘッダー情報に空間参照情報が必ず含まれている必要があります。LAS ファイル内に空間参照情報が存在する場合、ArcGIS はこの情報を読み取って使用します。
ArcGIS によって、LAS データセットに追加されたいずれかの LAS ファイルにある空間参照は、そのデータセットの空間参照として割り当てられます。LAS ファイルに含まれるコンテンツに空間参照情報が存在しない場合、データセットの空間参照は不明のままです。
LAS データセットで空間参照が定義されていても、LAS データセット内に存在するすべての LAS ファイルでその空間参照が定義されているとは限りません。投影法が異なっていたり定義されていなかったりする LAS ファイルが存在する場合があります。どちらもよくある状況であり、品質が低くなります。
残念ながら、取得した LAS ファイルに空間参照情報が含まれていないことはよくあります。ArcGIS において LAS データセットが参照する LAS ファイルに空間参照を適用する方法のベスト プラクティスは、次のとおりです。
LAS ファイルに空間参照が存在しない場合や不正な場合、次の操作が可能です。
- 各 LAS ファイルに対して投影情報ファイル(*.prj)を作成し、各 LAS ファイルの空間参照を定義します。このプロセスを自動化するサンプル ツールは、3D GIS Resource Center のギャラリーにあります。
- 適切な空間参照情報を含むように、LAS ファイルを書き換えます。このプロセスを自動化するサンプル ツールは、3D GIS Resource Center のギャラリーにあります。
各 LAS ファイルの空間参照情報が既知であることは、ArcGIS での以降の解析および視覚化に重要です。空間参照がないと、ArcGIS で特定の関数やワークフローが想定通りに機能しない場合があります。LAS データのリアルタイムの投影は(パフォーマンス上の理由から)お勧めしませんが、使用できるように各 LAS ファイルに対して空間参照を定義する必要があります。空間参照を LAS データセット レベルだけで定義しても十分ではありません。LAS データが表示されていない場合、マップの投影法が LAS データとは異なり、LAS ファイルの空間参照が適切に定義されていない可能性があります。
- LAS データは、UTM や NAD83 State Plane などの投影座標系で提供および使用することが推奨されます。地理座標で取得された LAS データは、表示することはできますが、一部の機能が使用できなかったり、最適化されない可能性があります。
- 空間参照が存在しない場合や、LAS ファイルの空間参照が間違っている場合は、LAS データセットが参照する LAS ファイルと一緒に、付属の投影情報ファイル(*.prj)を追加することをお勧めします。この問題を LAS ファイルを使って解決できない、または解決する必要がない場合は、各 LAS ファイルに対して *.prj ファイルを使用して、空間参照を定義します。このことは、各 LAS ファイルの空間参照情報が既知のものである場合、ArcGIS での以降の解析および視覚化に重要です。
- ポイントの間隔が極めて小さい(たとえば、固定地上スキャナなどに見られる、フィートまたはメートル単位で 0.01 未満)場合は、単位をミリメートルかインチに設定します。
- 楕円体高ではなく、標高を使用します。