ArcGIS Server サイトと Portal for ArcGIS のフェデレーション
必要に応じて、ArcGIS Server サイトを Portal for ArcGISに追加できます。これには、次の利点があります。
- ArcGIS Server サイトと Portal for ArcGIS が同じユーザ ストア(ポータルのユーザ ストア)を共有します。この結果、シングル サインオンが実現し、利便性が高まります。
- ArcGIS Server サイトで公開するアイテムは、自動的に Portal for ArcGIS でも共有されます。
- 必要に応じて、Portal for ArcGIS のユーザが公開したタイル マップ サービスやフィーチャ サービスを、サーバがホストできます。
このようにして ArcGIS Server サイトをユーザの Portal for ArcGIS に追加する場合、ArcGIS Server サイトを Portal for ArcGIS とフェデレートすると言います。ユーザの Portal for ArcGIS に追加した ArcGIS Server サイトは、フェデレーション サーバです。
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フェデレートする ArcGIS Server サイトで Web 層認証を使用している場合、Portal for ArcGIS とフェデレートする前に Web 層認証(基本認証またはダイジェスト認証)を無効化し、サイトで構成されている ArcGIS Web Adaptor に対する匿名アクセスを有効化する必要があります。これは、一見間違っているように感じられますが、サイトをポータルとフェデレートして、ポータルのユーザとロールを読み取れるようにするために必要な操作です。ArcGIS Server サイトで Web 層認証を使用していない場合は、上記の操作は必要ありません。これで次の手順に進むことができます。
ArcGIS Server サイトをポータルとフェデレートするには、次の手順に従います。
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デフォルトでは、ArcGIS Server は HTTP のみを使用して通信するように構成されています。これに対し、Portal for ArcGIS では、デフォルトで通信に HTTP と HTTPS が使用されています。 Portal for ArcGIS と ArcGIS Server 間の一部の通信では暗号化が必要になるため、HTTPS を使用して通信できるように ArcGIS Server サイトを更新する必要があります。すべての通信で強制的に HTTPS を使用したり([HTTPS only])、両方のプロトコルの使用を許可([HTTP and HTTPS])できます。以下のシナリオを除いて、選択したプロトコルと Portal for ArcGIS のプロトコルが同じでなくてもかまいません。
- Portal for ArcGIS で統合 Windows 認証を使用する場合や組織内のすべての通信に HTTPS が必要な場合は、HTTPS でのみ通信するように ArcGIS Server と Portal for ArcGIS を設定する必要があります。
- ArcGIS Server を Portal for ArcGIS のホスト サーバとして設定する場合は、選択した通信プロトコルと Portal for ArcGIS のプロトコルを同じにする必要があります。たとえば、Portal for ArcGIS が [HTTPS only] の場合は、ホスト サーバを [HTTPS only] として設定する必要があります。Portal for ArcGIS が [HTTP and HTTPS] に対応している場合は、ArcGIS Server のプロトコルを [HTTP and HTTPS] に設定する必要があります。
ArcGIS Server の通信プロトコルの変更方法の詳細については、以下の手順をご参照ください。
- ArcGIS Server Administrator Directory を開き、管理者権限を持つユーザとしてログインします。ArcGIS Server Administrator Directory の URL 形式は、http://gisserver.domain.com:6080/arcgis/admin です。
- [security] → [config] → [update] の順にクリックします。
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[Operation - update] ページで、[Protocol] ドロップダウン リストから、次のいずれかを選択します。
- 組織内のすべての通信に SSL が必要な場合は、[HTTPS only] を選択します。
- Portal for ArcGIS で統合 Windows 認証を使用する場合は、[HTTPS only] を選択する必要があります。
- 組織内のすべての通信には SSL(Secure Sockets Layer)または統合 Windows 認証が必要ない場合は、[HTTP and HTTPS] を選択します。
- [Update] をクリックします。ArcGIS Server サイトが再起動します。先に進む前に、再起動が完了するのを待つ必要があります。
- ArcGIS Server Administrator Directory からログアウトします。
注意:
ArcGIS Web Adaptor がサイトの通信プロトコルの変更を認識するまで、約 1 分かかります。
レガシー:
以前のバージョンでは、ArcGIS Server の通信プロトコルの更新後に、ArcGIS Web Adaptor を再構成する必要がありました。10.2.2 以降のバージョンでは、この作業は必要なくなりました。
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管理者として Portal for ArcGIS Web サイトにサイン インし、[組織] → [編集設定] → [サーバ] の順に選択します。
この手順では、ArcGIS Web Adaptor の URL(https://webadaptor.domain.com/arcgis/home など)を介して Web サイトに接続する必要があります。ポート 7443 では内部 URL を使用できません。
- [サーバの追加] をクリックします。
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次の情報を入力します。
- [サーバの URL] - ArcGIS Server サイトにアクセスするときに外部ユーザが使用する URL。サイトに ArcGIS Web Adaptor がある場合は、この URL に ArcGIS Web Adaptor のアドレスが含まれます(例: http://webadaptor.domain.com/arcgis)。組織がすべての通信に SSL を求める場合、http の代わりに https プロトコルを使用します。
- [管理 URL] - 内部ネットワークで管理操作を実行する場合に ArcGIS Server へのアクセスに使用する URL(例: http://gisserver.domain.com:6080/arcgis)。組織でのすべての通信に SSL が必要な場合(統合 Windows 認証を使用している場合など)は、https://gisserver.domain.com:6443/arcgis を使用します。
- [ユーザ名] - 最初に ArcGIS Server Manager にログインし、ArcGIS Server を管理するために使用されたプライマリ サイト管理者の名前。このアカウントが無効化されている場合、再び有効化する必要があります。
- [パスワード] - プライマリ サイト管理者のアカウントのパスワード。
- [追加] をクリックします。
- [保存] をクリックして、フェデレーション サーバの設定を保存します。
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ArcGIS Server サイトをポータルとフェデレートしようとすると、フェデレーション アクティビティのログがポータル コンテンツ ディレクトリに作成されます(例: c:\arcgisportal\logs\webserver\portal.<date>.log)。フェデレーション中にエラーが発生した場合は、このログに記録されているメッセージを参照してトラブルシューティングを実施することを推奨します。必要に応じて、この情報を Esri サポート と共有することもできます。フェデレーション中に発生する可能性のある問題の詳細なリストが「一般的な問題と解決策」に掲載されています。
ArcGIS Server を Portal for ArcGIS とフェデレートしたら、https://gisserver.domain.com:6443/arcgis/manager などの URL を使用して ArcGIS Server Manager にログインします。ポータルの管理者または公開者の名前とパスワードを入力するよう求められます。フェデレーション サーバを使用する場合、他にもさまざまな違いがあります。詳細については、「フェデレーション サーバの管理」をご参照ください。
Portal for ArcGIS と ArcGIS Server をフェデレートした後、以下の操作を実行できます。
- フェデレーション サーバからのサービスのインポート - 既存のすべての ArcGIS Server サービスをポータルのアイテムとして表示する場合、ArcGIS Server Administrator Directory の [federate] リンクを使用してサービスをインポートできます。ArcGIS Server はすでに Portal for ArcGIS とフェデレートされているため、このインポート処理は 1 回限りのバッチ処理となり、これ以降に公開されるサービスは自動的に Portal for ArcGIS のアイテムとして利用できます。
- フェデレーション サーバの 1 つをホスト サーバとして構成 - この操作により、ポータル ユーザはポータルにサービスを公開できるようになります。この操作は、ポータル Web サイト、または ArcMap の カタログ ツリーにある [マイ ホスト サービス] ノードから実行できます。
- プライマリ サイト管理者アカウントの無効化 - この操作はすべてのサイトに必要な操作ではありませんが、すべてのユーザにポータル アカウントとトークンを強制的に使用させることで、セキュリティを一層向上させることができます。