モザイク データセットのプロパティ
モザイク データセットのプロパティには、一般、デフォルト、キー メタデータの 3 つのグループがあります。一般プロパティは、データ ソース、範囲、セル サイズ、ビット深度などのすべてのラスタ データセットに見られるプロパティと同じようなものです。デフォルト プロパティは、モザイク データセット固有のプロパティで、ラスタ データセットにはない固有の情報がすべて含まれています。プロパティは、モザイク化された画像がユーザ(またはクライアント)に表示される様子や、対話の方法に影響を与えます。キー メタデータ プロパティは、モザイク データセットにプロダクト定義が定義されている場合に、プロダクト定義から取得されます。これには、バンド情報と波長情報が含まれ、レンダリングや一部の処理に使用されます。プロダクト定義は、[一般] タブで変更できます。一般プロパティやキー メタデータ プロパティの詳細については、「ラスタ データセットのプロパティ」をご参照ください。
コンテンツ ウィンドウ内のモザイク レイヤに設定されたプロパティはレイヤに適用されるだけで、バンドの組み合わせやモザイク手法など、モザイク データセットと一緒には格納されません。そのため、モザイク データセットに複数のユーザがいても、別のユーザが使用するレイヤ設定によって影響を受けることはありません。この振舞いは、データセットおよびレイヤと同じです。
[モザイク データセット プロパティ] ダイアログ ボックスには、カタログ ウィンドウからアクセスするか、ArcCatalog でモザイク データセットを右クリックして [プロパティ] をクリックすることでアクセスできます。ここで、これらのプロパティを変更できます。ダイアログ ボックス内の値は、プロパティの横の値をクリックすることで編集できます。別の値を入力するか、リストから選択します。また、[モザイク データセット プロパティの設定(Set Mosaic Dataset Properties)] ツールを使用してプロパティを変更することもできます。
[デフォルト] タブのプロパティは、モザイク データ セットが公開される場合のサーバやイメージ サービスのパフォーマンスにも影響を与えます。ArcGIS for Server を使用してモザイク データセットを公開するとき、サーバ管理者はこれらのプロパティの一部をイメージ サービスの設定の一部分として変更できます。ただし、ユーザの設定した最大値を超えることはできません。たとえば、許可されるモザイク手法を 3 つだけに制限すると、管理者は 4 つめの手法を追加できなくなります。または、ダウンロード可能なアイテムの最大数を設定した場合、サーバ管理者はこの数を減らすことはできても、増やすことはできません。値の上限を大きくする、または制限をかけるためにプロパティ([リクエストの最大サイズ] など)を変更する場合、モザイク データセット全体を再公開する必要があります。イメージ サービスを再開したとき、モザイク データセット内の変更したプロパティは取得されません。
画像のプロパティ
- リクエストの最大サイズ - このプロパティは、モザイク データセットがイメージ サービスとして公開され、アクセスされた時にのみ適用します。毎回モザイク画像が生成される際の行と列の最大値。この数値を増やすと、モザイク画像の処理にかかる時間が増大します。ただし、非常に大きくて高解像度のプロットを印刷する場合は、この数値を大きくすることをお勧めします。この数値が小さすぎると、モザイク画像が何も表示されない場合があります。たとえば、この数値を 10 に変更すると、画像を表示するための表示ウィンドウの寸法はわずか 10 ピクセル以下になります。
- 許可される圧縮手法 - モザイク画像をサーバからクライアントに送信するときに使用する圧縮方法を定義します。このプロパティは、モザイク データセットから生成されたイメージ サービスに影響します。LAN 経由でイメージ サービスにアクセスする場合、データ量が大きくても問題は発生しません。ただし、低速なインターネット接続を介して作業を行う場合は、送信の前に画像を圧縮する方がよいでしょう。この圧縮によって、送信される画像のサイズは軽減されますが、最初にデータを圧縮するための負荷がサーバに追加でかかります。これはクライアントが代行することもできます。
- なし - 画像に圧縮は適用されません。最高度の品質を得ることができますが、ネットワーク上のデータの転送容量は最大になります。
- LZ77 - スキャンされたマップや分類の結果などピクセル値が類似する画像(不連続データ)に推奨される、効率的な可逆圧縮方法です。
- JPEG - 通常は約 3 ~ 8 倍の割合で画像を圧縮できる、画像品質の劣化がほとんどない効率的な圧縮方法です。JPEG 方式を選択した場合、0 ~ 100 の値を入力して品質を調整することもできます。80 という値に設定すると、約 8 倍の圧縮を行いながら画像の品質を保持できます。
- LERC - 32 ビット、16 ビット、または 12 ビットの浮動小数点データなど、ピクセル深度が大きいデータに推奨される、効率的な非可逆圧縮方法です。この方法を選択する場合は、(画像の平均ではなく)ピクセルあたり適用可能な最大エラー値を表す品質値を指定する必要があります。この値は、モザイク データセットの単位で指定します。たとえば、エラーが 10 cm でモザイク データセットがメートル単位である場合は、「0.1」と入力します。
LERC は、LZ77 に比べ、浮動小数点データの圧縮率に優れ(5 ~ 10 倍)、圧縮速度も速くなります(5 ~ 10 倍)。整数データの圧縮率も向上します。整数データを使用し、指定された誤差の限界値が 0.99 以下の場合、LERC は可逆圧縮とみなされます。
デフォルトのリサンプリング方法 - ピクセルのデフォルトのリサンプリング方法を定義します。これらは、ユーザの表示(公開されている場合はクライアントのリクエスト)の解像度と一致させるためにリサンプリングされます。データの使用または入力は、選択する方法に影響します。これは、モザイク データセット レイヤ(またはイメージ サービス レイヤ)で設定されるプロパティでもあり、ユーザは自分のレイヤ上で設定を変更できます。設定を変更しても、モザイク データセットのデフォルトは変更されません。
最近隣内挿法を使用すると、より正確な放射量補正値を得られます。一般的にこの方法は高速ですが、フィーチャのエッジがギザギザになる場合があります。共一次内挿法を使用すると画像が滑らかになりますが、画像のスムージングが発生する場合があります。共一次内挿法は連続ラスタ データに対して推奨されます。三次たたみ込み内挿法は、幾何学的な精度が高くなりますが、共一次内挿法よりも少し低速になります。大部分は、不連続データに対して最適です。
- モザイクごとのラスタの最大数 - サーバが膨大な数のラスタのモザイク処理を実行しないようにします。たとえば、オーバービュー タイルの生成されていない最適化されていないイメージ サービス データセットで、クライアントがオーバービューの縮尺にまで拡大するような場合です。デフォルトは 20 です。
- セル サイズ許容値ファクタ - モザイクやシームライン生成などの一部の処理に対して、さまざまなピクセル サイズでモザイク データセット アイテムをグループ化する方法を制御するために使用されます。ファクタが 0.1 の場合、最小ピクセル サイズより 10% 大きなすべての LowPS 値は同じと見なされます。この値は 0.0 以上である必要があります。レベル テーブルで結果を表示できます(アクセスするには、コンテンツ ウィンドウのモザイク データセットを右クリックして、[開く] → [レベル テーブル]の順にクリックします)。
- 許可されるモザイク手法 -画像を作成するためにラスタをまとめてモザイクする順序を定義します。モザイク手法を 1 つ以上選択し、どの手法をデフォルトにするかを選択できます。ユーザはこれらの手法の中から選択できます。
- Closest to Center - デフォルトの順序に基づいてラスタを並べ替えます。中心がビューの中央に最も近いラスタが上に配置されます。
- Closest to Nadir - 天底の位置とビューの中央の間の距離に基づいてラスタを並べ替えます。これは、[Closest to Center] 手法に似ていますが、ラスタに対する天底の位置を使用します。この位置は、特に傾斜した画像において中央の位置と異なる可能性があります。
- Closest to Viewpoint - [観測点] ツールを使用して、ラスタのユーザ定義位置と天底の位置に基づいてラスタを並べ替えます。
- By Attribute - 定義されたメタデータ属性と、基準値からの差異に基づいてラスタを並べ替えます。
- North-West - ビューとは関係なくラスタを並べ替えます。中心が北西にあるラスタが上に表示されます。
- Seamline -継ぎ目(シーム)に沿ってオプションのフェザリングを適用しつつ、ラスタごとに事前定義されたシームライン シェープでラスタを切り取り、さらに属性テーブル内の SOrder フィールドに基づいて画像を並べ替えます。
- Lock Raster - ユーザは、オブジェクト ID に基づいて、単一または複数のラスタの表示をロックすることができます。
- なし - モザイク データセットの属性テーブル内の順序(ObjectID)に基づいてラスタを並べ替えます。
注意:モザイク手法の結果は、ZOrder に影響を与える可能性があります。ZOrder は、[Closest to Center(中心に最も近い)]、[North-West(北西)]、[Attribute(属性による)]、[Closest to Nadir(天底に最も近い)]、[Closest to Viewpoint(観測点に最も近い)] モザイク手法を使用しているときに、どのようにラスタをまとめてモザイク表示するかを決めるときに使用されます。これらのモザイク手法を使用して、ラスタは常に ZOrder で最初に並べ替えられます。
- デフォルトの並べ替え順 - モザイク手法で定義された画像の順序付けを制御します。昇順は、画像をそのまま順序付けします。降順は、順序を逆にします。たとえば、モザイク手法が [中心に最も近い] のときに [降順] を選択すると、中心から最も遠い画像が表示されます。
- デフォルトのモザイク オペレータ - 重なり合うセルの解決方法として、ブレンド操作の選択などを定義することができます。
- 最初: オーバーラップ領域には、ソースにリストされた最初のラスタ データセットから取得したセルが含まれます。
- 最後: オーバーラップ領域には、ソースにリストされた最後のラスタ データセットから取得したセルが含まれます。
- 最小値: オーバーラップ領域には、重なり合うすべてのセルから取得したセルの最小値が含まれます。
- 最大値: オーバーラップ領域には、重なり合うすべてのセルから取得したセルの最大値が含まれます。
- 平均値: オーバーラップ領域には、重なり合うすべてのセルから取得したセルの平均値が含まれます。
- ブレンド - オーバーラップ領域は、モザイク画像内にある各ラスタ データセットのエッジに沿って重複するセル値の融合になります。デフォルトでは、エッジは各ラスタのフットプリントまたはシームラインによって定義されます。
ブレンド幅 - ブレンド モザイク オペレータで使用される距離をピクセル(表示縮尺)で定義します。
この値は、エッジの両側で半分ずつに分割されます。そのため、値が 40 の場合、20 ピクセルがフットプリントの内部にブレンドされ、20 ピクセルがフットプリントの外部にブレンドされます。
シームラインがある場合は、ブレンドの幅とタイプをシームライン テーブル内でシームラインごとに定義して、この値を無効にできます。
- 観測点の設定 - [観測点に最も近い] モザイク手法を使用した場合、次の設定が適用されます。
- 観測点間隔 X および Y - [観測点] ダイアログ ボックスで矢印ボタンをクリックしたときに対象エリア(表示ビュー)の中心位置を計算するために使用するオフセットを定義します。これらの値は、モザイク データセットの空間参照系の単位で計算されます。
- 常にラスタをフットプリントにクリップ - 各ラスタの範囲をフットプリントに制限するかどうかを選択できます。
- NoData を含む可能性のあるフットプリント - NoData が有効なピクセル値か選ぶことができます。これが [はい] であり、モザイク手法が NoData を含むラスタを使用する場合、モザイク画像は NoData 値を含みます(そしてアプリケーションは異なるピクセル値を含む、重複するラスタを検索しません)。[いいえ] の場合、アプリケーションは重複するラスタを使って、NoDataに書き込む値を見つけようとします。
- 常にモザイク データセットを境界にクリップ - 画像範囲を境界のジオメトリ、または境界の範囲に制限するかどうかを選択できます。[はい] に設定すると、画像範囲を境界線のジオメトリに制限します。[いいえ] に設定すると、画像範囲を境界線を含む矩形範囲でクリップします。
- カラー補正を適用 - モザイク データセットに適したカラー補正手法が存在する場合、[観測点に最も近い] モザイク手法を使用するときに、それを適用することができます。
- 最小ピクセル設定 - 最小ピクセル設定の許容値を選択できます。ここで、モザイク データセット アイテムが対象エリアの一部とみなされるために必要なそのエリア内の最小ピクセル数を定義します。デフォルト値は 1 ピクセルです。大きな値を設定すると、重複アイテムが対象エリアの一部になる可能性が低下する場合があります。これにより、モザイク データセットの一部が空になる可能性があります。このプロパティが有効なのは、[常にラスタをフットプリントでクリップ] を [はい] に設定し、[フットプリントに NoData を含むことができる] を [いいえ] に設定しているときのみです。このプロパティは、モザイク データセットに複数の重複ラスタがあるときにのみ役立ちます。
カタログのプロパティ
- ラスタ メタデータ レベル - サーバからクライアントに送信されるメタデータの量を定義します。送信するメタデータの量が多い場合、この設定は送信時間に影響するので、これを制限することができます。次のようなオプションがあります。
- フル - 基本的なラスタ データセット情報と関数チェーンの詳細が送信されます。これがデフォルトです。
- 基本 - ラスタ データセット レベルの情報が送信されます。行と列、セル サイズ、空間参照情報などです。
- なし - メタデータは送信されません。
- リクエストごとに返される最大レコード数 - 公開されたイメージ サービスとしてモザイク データセットを表示するときにサーバから返される、レコードのリクエスト数を制限します。
- 許可されたフィールド - モザイク データアセットが提供されるときにクライアントに表示される、属性テーブルのフィールドを定義します。
時間 - モザイク データセットに時間を定義する属性フィールドが含まれている場合、自動的に時間対応になるモザイク データセットを作成できます。つまり、レイヤ内の時間プロパティがデフォルトで定義されるということです。開始時間と終了時間のフィールドと、時間形式を定義できます。時間値は日付フィールドに格納することをお勧めします。ただし、文字列と数値フィールドもサポートされています。
- 地理座標系変換 - モザイク データセットの空間参照系がソース ラスタ データの空間参照系とは異なる楕円体に基づいている場合、特定の地理座標系変換を指定する必要があります。このパラメータによって、地理座標系変換を実行するためのダイアログ ボックスにアクセスできます。
ダウンロードのプロパティ
- リクエストごとにダウロード可能な最大アイテム数 - クライアントがイメージ サービスからダウンロードできるラスタの数を制限します。クライアントが自分のモザイク データセット内からラスタをダウンロードしないようにする場合は、この値を 0 に設定します。この値は負荷に影響する場合もあります。クライアントにイメージ サービスを使用させる方法に応じて、この数値を調整することができます。注意:
GRID ラスタ形式を使用して格納されたソース ファイルはダウンロードできません。
- リクエストごとの最大ダウンロード サイズ - 一度にダウンロード可能な総メガバイト数です。