データ クロック
テンポラル データで作業する場合、データの時系列的な分布を理解しておくことが重要です。つまり、さまざまな期間にどの程度のデータが存在するかを理解することが役立つ場合があります。プレイバック マネージャのヒストグラムは、データの時系列的な分布を表示するための方法を提供しますが、1 次元であるだけに制約があります。Tracking Analyst でデータの時系列的な分布を解析する際に使用できる、より強力なツールはデータ クロックです。データ クロックは 2 次元チャートなので、2 つの異なる頻度でデータの時系列的な分布パターンを解析できます。
この概念を理解するために、過去 3 か月間の近隣地域における凶悪犯罪の発生件数を示すトラッキング レイヤがあると想定します。プレイバック マネージャのヒストグラムが、犯罪の発生件数が 12 か月間一定であることを示しているとします。ただし、このデータには、表示されていない隠れたパターンが存在する可能性があります。月別および 1 日の時間帯別にデータをチャート化したデータ クロックを作成すると、パターンが明らかになります。月別の犯罪件数はほぼ一定ですが、午後 9 時から午後 11 時の間の犯罪発生件数は大幅に増加しています。このパターンを、他のデータ分析方法を使用して見つけることは困難です。
データ クロック チャート
[データ クロック チャート] は、円形チャートです。これは、自転車用車輪のスポークのような、同心円と半径ラインの組み合わせでセルに分割されています。同心円と半径ラインによって、データがそれぞれ異なる切り口で分割されます。たとえば、同心円で 1 年を月ごとに分けて、半径ラインで 1 か月を日ごとに分けることができます。ここで示す例は、この方法で分割されています。
データ クロックの各セルの色は、そのセル内に存在するイベントの数を示しています。たとえば、上記のデータ クロックの赤いセルは、選択した月と日に対して 1 ~ 4 つのイベントが存在することを示しています。
データのサマリ方法
データ クロックは、[データ クロック作成ウィザード]を使用して作成します。以下の例では、上記のデータ クロック チャートを作成する設定を示しています。設定の 1 つは、データ クロックのデータ サマリ方法であり、この例では [1-12 月 / 1-31 日] が選択されています。この方法の最初の部分(この例では [1-12 月])は同心リングの分割方法を表し、2 番目の部分(この例では [1-31 日])は半径ラインの分割方法を表します。つまり、各リングが月を表し、各扇形が日を表します。個別のセルは、リングと扇形の組み合わせであり、ある月の日を表します。
[データ クロックを作成するためのサマリ方法を選択] ドロップダウン リストには、使用可能なサマリ方法のリストが表示されます。データについて最も多くの情報を表示するサマリ方法を決定できます。データに精通している場合は、データ内の特定のパターンを強調するサマリ方法を選択できます。たとえば、冬の月よりも夏の月のほうが多くのイベントが発生することがわかっている場合は、このパターンを強調するサマリ方法として [1-12 月] を選択できます。また、初めてデータを調査する場合は、データにおける特定のパターンを検出するためにいくつかの異なる方法を試すこともできます。
データ クロック プロパティ
[データ クロック作成ウィザード] ダイアログ ボックスでは、データ クロックの凡例も定義できます。使用するクラス数を指定し、クラスごとの色を決定するために使用するカラー ランプを選択できます。データ クロックを作成した後、[データ クロックのプロパティ] ダイアログ ボックスでこれらのプロパティを変更できます。そのためには、[データ クロック チャート] ダイアログ ボックスの任意の場所を右クリックして、ショートカット メニューの [プロパティ] をクリックします。フォント、ラベリング、凡例の位置などデータ クロックのいくつかの他のプロパティを、このダイアログ ボックスから変更できます。
データ クロックからのイベントの選択
トラッキング イベントは、[データ クロック チャート] ダイアログ ボックスのデータ クロック セルから直接選択できます。指定のボックスを 1 回クリックするか、このボックスをクリックしてからドラッグして、データ クロック内のセルをハイライト表示します。イベントを含む、選択したデータ クロック セルは、[データ クロック チャート] ダイアログ ボックスでハイライト表示され、対応するイベントもマップ上で選択されます。[データ クロック チャート] ダイアログ ボックスからイベントを直接選択する場合、ArcMap の対話形式の選択設定が適用されます。たとえば、現在の選択セットに追加したり、現在の選択セットから削除できます。
データ クロック マネージャ
Tracking Analyst には、作成した複数のデータ クロック チャートの管理に役立つ [データ クロック マネージャ] が用意されています。[データ クロック マネージャ] を使用してデータ クロックを作成すると、データ クロックの名前変更、削除、および変更が可能になります。また、[レイアウト上に表示] ボタンを使用して、ArcMap のレイアウト ビューにデータ クロックを配置することもできます。これは、印刷するマップ ドキュメントやエクスポートするマップ画像にデータ クロックを追加する場合に便利です。